格言聯璧 / 接物類・人に勝たんと欲する者は先づ自ら勝つ
值少壯之日,須念衰老的辛酸。 入安樂之場,當體患難人景況。 居旁觀之地,務悉局內人苦心。 臨事須替別人想,論人先將自己想。 欲勝人者先自勝,欲論人者先自論,欲知人者先自知。
新字:値少壮之日,須念衰老的辛酸。 入安楽之場,当体患難人景況。 居旁観之地,務悉局内人苦心。 臨事須替別人想,論人先将自己想。 欲勝人者先自勝,欲論人者先自論,欲知人者先自知。
書き下し
少壯の日に值りては、須らく衰老の辛酸を念ふべし。 安樂の場に入りては、當に患難の人の景況を體すべし。 旁觀の地に居りては、務めて局內の人の苦心を悉くすべし。 事に臨みては須らく別人に替りて想ふべし、人を論ずるには先づ自己を將て想ふ。 人に勝たんと欲する者は先づ自ら勝ち、人を論ぜんと欲する者は先づ自ら論じ、人を知らんと欲する者は先づ自ら知る。
現代語訳
若く元気な日々には、老いて衰えることのつらさを思うべきです。 安楽な場にいるときは、苦難の中にいる人の様子を思いやるべきです。 傍観する立場にいるときは、当事者の苦心をよく知るよう努めるべきです。 事にあたるときは他の人の身になって考え、人を論じるときはまず自分に当てはめて考えます。 人に勝ちたいと思う者はまず自分に勝ち、人を論じたいと思う者はまず自分を論じ、人を知りたいと思う者はまず自分を知ります。
解説
前の単位の「富貴の時は貧賤の痛みを知れ」に続き、少壮と衰老、安楽と患難、傍観と局内と、自分の立場の反対側に身を置けという句を重ねます。今の自分が恵まれた側にいるときほど、反対側の人の苦しみは見えにくくなるからです。四句目は、事には他人の身になって、人を論じるには自分に当てはめてと、視点の入れ替えをまとめます。最後の句は三つの「先づ自ら」を並べた結びで、老子の、人に勝つ者は力あり、自ら勝つ者は強し、人を知る者は智、自ら知る者は明なり、という言葉に通じます。人を批評する前に自分を省み、人を理解する前に自分を理解する。その順序を守ることが、人と接する基本だと教えてくれます。
この章句が説くこと
恕自省接物克己思いやり
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