格言聯璧 / 接物類・我を攜へて善を爲さしむる者は大恩
大惡多從柔處伏,慎防綿裹之針。 深仇常自愛中來,宜防刀頭之蜜。 惠我者小恩,攜我為善者大恩。 害我者小仇,引我為不善者大仇。 毋受小人私恩,受則恩不可酬。
新字:大悪多従柔処伏,慎防綿裹之針。 深仇常自愛中来,宜防刀頭之蜜。 恵我者小恩,攜我為善者大恩。 害我者小仇,引我為不善者大仇。 毋受小人私恩,受則恩不可酬。
書き下し
大惡は多く柔なる處より伏す、慎みて綿裹の針を防げ。 深仇は常に愛する中より來る、宜しく刀頭の蜜を防ぐべし。 我に惠む者は小恩、我を攜へて善を爲さしむる者は大恩。 我を害する者は小仇、我を引きて不善を爲さしむる者は大仇。 小人の私恩を受くる毋かれ、受くれば則ち恩酬ゆべからず。
現代語訳
大きな悪は、多くは柔らかい所に潜んでいます。綿にくるまれた針に気をつけて防ぎなさい。 深い仇は、いつも愛情の中から生まれます。刃の先に塗られた蜜に気をつけて防ぐべきです。 自分に物を恵んでくれる人は小さな恩人であり、自分の手を引いて善を行わせてくれる人は大きな恩人です。 自分を害する人は小さな仇であり、自分を誘って不善を行わせる人は大きな仇です。 小人から私的な恩を受けてはいけません。受ければその恩は返しきれなくなります。
解説
初めの対句は、害が優しさや愛情の姿をとって近づくことを、綿に包んだ針、刀の先の蜜という鋭いたとえで示します。心地よさの中にこそ危険が潜んでいるというのです。次の対句は、恩と仇の大小を測り直すもので、この則の核心です。物を恵んでくれる人より、善へと導いてくれる人のほうが大恩人であり、自分を害する人より、自分を悪へ誘う人のほうが大きな仇だと言います。損得ではなく、自分の人格にどう働くかで恩仇を測っているわけです。最後の句は、小人の私恩を受ければ返しきれない借りになると戒め、次の単位の士夫の公怒と対になります。気前よくしてくれる相手ほど、その好意の先に何があるかを見る冷静さが要ります。
この章句が説くこと
恩義交友接物警戒善行
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