格言聯璧 / 敦品類・富人の前にて貧を言ふ莫かれ
貴人之前莫言賤,彼將謂我求其薦。 富人之前莫言貧,彼將謂我求其憐。 小人專望人恩,恩過輒忘。 君子不輕受人恩,受則必報。 處眾以和,貴有強毅不可奪之力。
新字:貴人之前莫言賤,彼将謂我求其薦。 富人之前莫言貧,彼将謂我求其憐。 小人専望人恩,恩過輒忘。 君子不軽受人恩,受則必報。 処衆以和,貴有強毅不可奪之力。
書き下し
貴人の前にて賤を言ふこと莫かれ、彼將に我其の薦を求むと謂はんとす。 富人の前にて貧を言ふこと莫かれ、彼將に我其の憐みを求むと謂はんとす。 小人は專ら人の恩を望み、恩過ぐれば輒ち忘る。 君子は輕々しく人の恩を受けず、受くれば則ち必ず報ゆ。 衆に處するに和を以てするも、強毅にして奪ふべからざるの力有るを貴ぶ。
現代語訳
身分の高い人の前で自分の身分の低さを口にしてはいけません。相手は、自分に推薦を求めているのだと思うでしょう。 金持ちの前で自分の貧しさを口にしてはいけません。相手は、自分に憐れみを求めているのだと思うでしょう。 小人はひたすら人の恩を望み、恩を受けて時がたつとすぐ忘れます。 君子は軽々しく人の恩を受けず、受けたら必ず報います。 人々の中にいるときは和やかにふるまいながらも、強く毅然として奪われない力を持つことが大切です。
解説
人との間で自分の品位を保つ心得を集めた則です。初めの対句は、貴人の前で身分の低さを、富者の前で貧しさを語れば、たとえその気がなくても推薦や施しをねだっていると受け取られると戒めます。次の対句は恩の受け方で、小人は恩を求めてはすぐ忘れ、君子は安易に受けず受ければ必ず返すと対比します。最後の句は次の単位の「己を持するに正を以てす」と対になり、和やかさの中にも芯の強さを持てと説きます。愚痴や身の上話も、相手と場を選ばないと、思わぬ依存の合図として伝わることがあります。人に頼らず、頼ったら必ず返す。その節度が、人付き合いの中で自分の品位を守ってくれます。
この章句が説くこと
恩義品位処世交友剛毅
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