格言聯璧 / 接物類・恩は先に益して後に損するを怕る
禍莫大於不仇人,而有仇人之辭色。 恥莫大於不恩人,而作恩人之狀態。 恩怕先益後損,威怕先松後緊。 善用威者不輕怒,善用恩者不妄施。
新字:禍莫大於不仇人,而有仇人之辞色。 恥莫大於不恩人,而作恩人之状態。 恩怕先益後損,威怕先松後緊。 善用威者不軽怒,善用恩者不妄施。
書き下し
禍は人を仇とせずして、人を仇とするの辭色有るより大なるは莫し。 恥は人に恩あらずして、人に恩あるの狀態を作すより大なるは莫し。 恩は先に益して後に損するを怕れ、威は先に松めて後に緊むるを怕る。 善く威を用ゐる者は輕々しく怒らず、善く恩を用ゐる者は妄りに施さず。
現代語訳
災いとして最も大きいのは、人を恨んでもいないのに、恨んでいるような言葉や顔つきを見せることです。 恥として最も大きいのは、人に恩を施してもいないのに、恩人のような態度をとることです。 恩は、初めに厚くして後で薄くすることを恐れ、威厳は、初めに緩めて後で締めつけることを恐れます。 威厳をうまく使う人は軽々しく怒らず、恩をうまく使う人はむやみに施しません。
解説
前の対句は、心と態度の食い違いが災いや恥を生むと説きます。恨んでもいないのに恨んでいるような顔を見せれば、無用の敵を作り、恩を施していないのに恩人ぶれば、人の軽蔑を買います。後半は恩と威の使い方で、恩は初めに厚く後で薄くすると人はかえって恨み、威は初めに緩く後で厳しくすると人は反発すると言います。菜根譚にも、恩は淡から濃へ、威は厳から寛へと、よく似た言葉があります。最後の句は、威を使うのが上手な人ほど怒らず、恩を使うのが上手な人ほど施しを控えると結びます。部下や後輩に接するとき、最初に甘くして後で締めるより、最初にきちんと線を引き、後から緩めるほうがうまくいくのは、この道理によるのでしょう。
この章句が説くこと
恩威接物統率慎重処世
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