格言聯璧 / 處事類・一事心を留めざれば其の理を得ず
只人情世故熟了,甚麽大事做不到? 只天理人心合了,甚麽好事做不成? 只一事不留心,便有一事不得其理。 只一物不留心,便有一物不得其所。
書き下し
只だ人情世故熟せば、甚麽の大事か做し到らざらん。 只だ天理人心合へば、甚麽の好事か做し成さざらん。 只だ一事心を留めざれば、便ち一事の其の理を得ざる有り。 只だ一物心を留めざれば、便ち一物の其の所を得ざる有り。
現代語訳
人情と世間の道理によく通じてさえいれば、どんな大事でも成し遂げられないことがあるでしょうか。 天の道理と人の心が一致してさえいれば、どんな良い事でも成し遂げられないことがあるでしょうか。 一つの事に心を留めなければ、それだけで一つの事がその道理を得られなくなります。 一つの物に心を留めなければ、それだけで一つの物がその居場所を得られなくなります。
解説
四句すべてが「只」で始まり、前の二句と後の二句が表と裏になっている則です。前の対句は、人情世故に熟し、天理と人心が合っていれば、どんな大事も好事も成せると、大きく励まします。人情世故は、人の気持ちと世の中の習わしのことです。後の対句は一転して、一つの事、一つの物に心を留めないだけで、その事は筋を外れ、その物は居場所を失うと、細部への注意を促します。大きな事を成す力と、小さな事に行き届く注意とが、ともに求められているわけです。机の上の書類一枚、頼まれた用事一つにも心を留めることが、結局は大きな仕事を支えることになります。心を留めることの積み重ねが、人情に通じる力にもなっていきます。
この章句が説くこと
処事人情注意天理丁寧
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