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格言聯璧 / 處事類・事無き時は偷の字を戒む

無事時,戒一偷字,有事時,戒一亂字。 將事而能弭,遇事而能救,既事而能挽,此之謂達權,此之謂才。未事而知來,始事而要終,定事而知變,此之謂長慮,此之謂識。

新字:無事時,戒一偸字,有事時,戒一乱字。 将事而能弭,遇事而能救,既事而能挽,此之謂達権,此之謂才。未事而知来,始事而要終,定事而知変,此之謂長慮,此之謂識。

書き下し

事無き時は、一の偷の字を戒め、事有る時は、一の亂の字を戒む。 事に將んで能く弭め、事に遇ひて能く救ひ、事既にして能く挽く、此れを之れ權に達すと謂ひ、此れを之れ才と謂ふ。事未だならずして來るを知り、事を始めて終を要し、事を定めて變を知る、此れを之れ長慮と謂ひ、此れを之れ識と謂ふ。

現代語訳

何事もないときは「偷(なまけ)」の一字を戒め、事があるときは「乱(うろたえ)」の一字を戒めます。 事が起きかけたときに鎮め、事に出くわしたときに救い、事が済んだあとで挽回する。これを臨機に通じると言い、これを才と言います。事が起こる前に先を知り、事を始めるときに終わりを見定め、事を決めたあとにも変化を知る。これを遠い慮りと言い、これを識と言います。

解説

平時と有事に戒めるべきものを、偷と乱の一字ずつで示す冒頭は、処事類の最初の則「事無きも事有るが如く」を短く言い直したものです。続く二句は、才と識の違いを見事に描き分けています。才は、事の前後で火を消し、救い、立て直す臨機の力で、権に達するともいわれます。識は、事の前に先を読み、始めに終わりを見据え、決めたあとも変化を見通す長い見通しの力です。才が起きたことへの対応力なら、識は起きる前に見る力と言えるでしょう。問題を上手に収める人は評価されやすいのですが、そもそも問題を起こさない人の力は見えにくいものです。組織では、才だけでなく識のある人を見出す目も求められます。
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