格言聯璧 / 敦品類・名を惜しむ者は靜にして休し
競標榜,邀權貴,務矯激,習模棱,此市名也。 惜名者,靜而休;市名者,躁而拙。 士大夫當為一家用財,不當為一家傷財。 濟宗黨,廣束修,救荒歉,助義舉,此用財也。
新字:競標榜,邀権貴,務矯激,習模棱,此市名也。 惜名者,静而休;市名者,躁而拙。 士大夫当為一家用財,不当為一家傷財。 済宗党,広束修,救荒歉,助義舉,此用財也。
書き下し
標榜を競ひ、權貴を邀へ、矯激を務め、模棱を習ふ、此れ名を市るなり。 名を惜しむ者は、靜にして休く、名を市る者は、躁にして拙し。 士大夫は當に一家の爲に財を用ふべし、當に一家の爲に財を傷るべからず。 宗黨を濟ひ、束修を廣め、荒歉を救ひ、義舉を助く、此れ財を用ふるなり。
現代語訳
看板を掲げて自分を売り込むことを競い、権力者や貴人を迎えてへつらい、ことさら奇矯で激しい言動に努め、どっちつかずの態度を身につける。これが名を売ることです。 名を惜しむ者は落ち着いていて立派であり、名を売る者はせわしなくてつたないものです。 士大夫は一家のために財を活かして用いるべきで、一家のために財を損なうべきではありません。 一族や郷党を救い、束修(師への謝礼)を広く出して学びを支え、凶作を救い、公益の事業を助ける。これが財を用いることです。
解説
「名を市る」の中身として、自己宣伝、権力者への接近、わざと奇抜な言動をとること、どっちつかずの処世術の四つを挙げます。模棱は、唐の宰相蘇味道が物事をはっきり決めないことを処世の術とした故事から出た語です。名を惜しむ人は静かで美しく、名を売る人は落ち着かず拙いと対比しています。後半から第三の心得、財を「用いる」か「傷る」かに移ります。財を用いるとは、一族を助け、教育に費やし、飢饉を救い、公益に出すことで、次の単位の贅沢と対になります。発信や人脈づくりが当たり前の今こそ、自分の名が行いの結果なのか、売り込みの結果なのかを見分ける目が大切になります。
この章句が説くこと
名節用財処世修身公益
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