格言聯璧 / 持躬類・福は享け盡すべからず
事不可做盡,言不可道盡,勢不可倚盡,福不可享盡。 不可吃盡,不可穿盡,不可說盡;又要懂得,又要做得,又要耐得。 難消之味休食,難得之物休蓄。
新字:事不可做尽,言不可道尽,勢不可倚尽,福不可享尽。 不可吃尽,不可穿尽,不可説尽;又要懂得,又要做得,又要耐得。 難消之味休食,難得之物休蓄。
書き下し
事は做し盡すべからず、言は道ひ盡すべからず、勢は倚り盡すべからず、福は享け盡すべからず。 吃ひ盡すべからず、穿き盡すべからず、說き盡すべからず。又た懂り得るを要し、又た做し得るを要し、又た耐へ得るを要す。 消し難きの味は食ふこと休かれ、得難きの物は蓄ふること休かれ。
現代語訳
事はやり尽くしてはならず、言葉は言い尽くしてはならず、権勢は頼り尽くしてはならず、福は享け尽くしてはなりません。 食べ尽くしてはならず、着尽くしてはならず、言い尽くしてはなりません。そのうえで、わかることができ、やることができ、耐えることができなければなりません。 消化しにくいごちそうは食べてはならず、手に入りにくい品物は貯め込んではなりません。
解説
「尽くすべからず」を重ねて、余地を残すことを説く聯です。事・言・勢・福の四つは、宋の法演禅師の「四戒」として知られる言葉に通じ、どれも使い切ると反動が来るという考えです。続く句は食・衣・言という身近な場面に置き換え、さらに懂得・做得・耐得、つまり分かること、できること、耐えることの三つを求めます。控えるだけでなく、理解し、実行し、辛抱する力が要るということです。最後の句から「難き」の列が始まり、次の単位へ続きます。消化しにくい味や得がたい物に手を出さないのは、後で苦しまないための知恵です。
この章句が説くこと
惜福余裕持躬節度忍耐
関連する章句
-
説苑・說叢聖人の衣や體に便にして以て身を安んじ、其の食や腹に安んず。衣を適し食を節し、口目に聽かず。
-
説苑・雜言孔子曰く、「中人の情は、余り有れば則ち侈り、足らざれば則ち倹にし、禁無ければ則ち淫し、度無ければ則ち失し、欲を縦にすれば則ち敗る。飲食に量有り、衣服に節有り、宮室に度有り、畜聚に数有り、車器に限有るは、以て乱の源を防ぐなり。故に夫れ度量は明らかにせざる可からず、善言は聴かざる可からず」と。
-
葉隠・聞書第一大酒にて後れを取りたる人、数多(あまた)なり。別して残念の事なり。まず我が丈け分(たけぶん)をよく覚え、その上は飲まぬ様にありたきなり。そのうちにも、時により、酔い過す事あり。酒座(しゅざ)には就中(なかんずく)気をぬかさず、図(はか)らぬ事出来(しゅったい)ても間に合う様に、了簡(りょうけん)あるべき事なり。また酒宴は……
-
尚書・說命中寵を啓きて侮りを納るる無かれ、過ちを恥じて非を作す無かれ。
-
葉隠・聞書第一時により、人に用(よう)をいい、物をもらう事有り。それも度重(たびかさ)ならば、無心(むしん)になり、いやしかるべし。何とぞ済む事ならば、用をいわぬように有りたきなり。
-
論語・述而篇子は釣りして綱せず、弋して宿を射ず。