格言聯璧 / 持躬類・貪の字を以て書を讀む
以媚字奉親,以淡字交友,以苟字省費,以拙字免勞,以聾字止謗,以盲字遠色,以吝字防口,以病字醫淫,以貪字讀書,以疑字窮理,以刻字責己,以迂字守禮,以很字立志,以傲字植骨,以癡字救貧,以空字解憂,以弱字禦侮,以悔字改過,以懶字抑奔競風,以惰字屏塵俗事。
新字:以媚字奉親,以淡字交友,以苟字省費,以拙字免労,以聾字止謗,以盲字遠色,以吝字防口,以病字医淫,以貪字読書,以疑字窮理,以刻字責己,以迂字守礼,以很字立志,以傲字植骨,以痴字救貧,以空字解憂,以弱字禦侮,以悔字改過,以懶字抑奔競風,以惰字屏塵俗事。
書き下し
媚の字を以て親に奉じ、淡の字を以て友に交はり、苟の字を以て費を省き、拙の字を以て勞を免れ、聾の字を以て謗りを止め、盲の字を以て色を遠ざけ、吝の字を以て口を防ぎ、病の字を以て淫を醫し、貪の字を以て書を讀み、疑の字を以て理を窮め、刻の字を以て己を責め、迂の字を以て禮を守り、很の字を以て志を立て、傲の字を以て骨を植て、癡の字を以て貧を救ひ、空の字を以て憂ひを解き、弱の字を以て侮りを禦ぎ、悔の字を以て過ちを改め、懶の字を以て奔競の風を抑へ、惰の字を以て塵俗の事を屏く。
現代語訳
「媚」の字で親に仕え、「淡」の字で友と交わり、「苟(間に合わせ)」の字で出費を省き、「拙」の字で苦労を免れ、「聾」の字で悪口を止め、「盲」の字で色事を遠ざけ、「吝(けち)」の字で口を慎み、「病」の字で淫欲を治し、「貪」の字で書を読み、「疑」の字で道理を窮め、「刻(きびしさ)」の字で自分を責め、「迂(まわりくどさ)」の字で礼を守り、「很(強情)」の字で志を立て、「傲」の字で骨格をしっかり立て、「癡(愚直)」の字で貧しさを救い、「空」の字で憂いを解き、「弱」の字で侮りを防ぎ、「悔」の字で過ちを改め、「懶(ものぐさ)」の字で出世争いの風潮を抑え、「惰」の字で俗事を退けます。
解説
ふつうは悪い意味の二十の字を、使いどころを選べば徳になるものとして並べた、遊び心のある聯です。媚は人にへつらう悪徳ですが親に対しては喜ばせる心になり、貪は欲深さですが読書に向ければ貪欲な学びになります。聾は悪口を聞き流すこと、吝は口数を惜しむこと、很は強情ですが志を立てるには必要な頑固さ、傲は骨のある誇りです。懶や惰さえ、出世争いや俗事から身を遠ざけるのに役立つと言います。欠点と思っている性質も、向ける先を変えれば長所になるという発想は、自分の性格を嫌う人にとって大きな励ましになるでしょう。
この章句が説くこと
逆説読書持躬長所修身
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