格言聯璧 / 持躬類・富は能く施すを以て德と爲す
要做賢人君子,我主張,由不得天。 富以能施為德,貧以無求為德,貴以下人為德,賤以忘勢為德。 護體面,不如重廉恥。求醫藥,不如養性情。
新字:要做賢人君子,我主張,由不得天。 富以能施為徳,貧以無求為徳,貴以下人為徳,賤以忘勢為徳。 護体面,不如重廉恥。求医薬,不如養性情。
書き下し
賢人君子と做らんと要するは、我の主張にして、天に由り得ず。 富は能く施すを以て德と爲し、貧は求むる無きを以て德と爲し、貴は人に下るを以て德と爲し、賤は勢を忘るるを以て德と爲す。 體面を護るは、廉恥を重んずるに如かず。醫藥を求むるは、性情を養ふに如かず。
現代語訳
賢人君子になろうとすることは、私が決めることで、天の思い通りにはなりません。 富める者は施せることを徳とし、貧しい者は何も求めないことを徳とし、身分の高い者は人にへりくだることを徳とし、身分の低い者は権勢を忘れることを徳とします。 体面を守るよりも、恥を知る心を重んじるほうがよい。医者や薬を求めるよりも、心と気性を養うほうがよいのです。
解説
前の単位の対句の後半で、賢人君子になるかどうかは自分が決めることで、天にも左右されないと言い切ります。富貴は天の手にあっても、人格は我の手にあるという自負です。中ほどの句は、富・貧・貴・賤のそれぞれの立場にふさわしい徳を示し、富めば施し、貧しければ求めず、貴ければ人に下り、賤しければ権勢を気にしないことを挙げます。どんな立場にもその立場なりの徳があるという考え方です。後半は「如かず」の形で比較の句が始まり、次の単位へ続きます。体面より廉恥、医薬より性情という対比は、見かけや対症療法より根本を大切にせよという教えです。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
君子施与廉恥持躬養生
関連する章句
-
『養生訓』巻第六・択医一医とならば君子医となるべし、小人医となるべからず。君子医は人のためにす。人を救ふに、志専一なるなり。小人医はわが為にす。わが身の利養のみ志し、人をすくふに、志専ならず。医は仁術なり。人を救ふを以て志とすべし。是人のためにする君子医なり。人を救ふに志なくして、只身の利養を以て志とするは、是わがためにする小人医なり。医は病者を救はんための術なれば、病家の貴賤貧富の隔なく、心を尽して病を治すべし。病家よりまねかば、貴賤をわかたず、はやく行くべし、遅々すべからず。人の命は至りておもし、病人をおろそかにすべからず。是医となれる職分をつとむるなり。小人医は、医術流行すれば、我が身にほこりたかぶりて、貧賤なる病家をあなどる。是医の本意を失へり。
-
『翁問答』下卷之本聖人の才徳天地神明とおなじき故に、神明不測広大周備、言語道断なり、賢人の才徳も大かた聖人の体段そなはりぬれども、神明不測の位にいたらず、英雄は大将の才徳は賢人と同じけれども、余の才と徳とは賢人より一位おとりて英雄のかどあるなり、聖人賢人英雄この三人は、才徳の高下大小ありと雖、いづれも君子なれば治世にも乱世にも天下無双の重宝なる人なり、奸雄は敵を退治する一科の用に立つ事は賢人英雄にもおとらねども、明徳くらく邪欲ふかき故、むほん逆心の疑ひありて、味方のたのみあやうし、さて国治まりて仕置などまかせぬれば国をみだり、乱をおこすものなり、
-
『慎思録』巻之五唯君子のみ能く君子と小人とを知る。小人は君子の心を知ること能はず。反りて猜疑疾悪し、動もすれば妨害を為し、終に枉冤陥殺するに至る者も、亦之れ有り。且つ小人は小人の害を為すを察せず、引き進めて己の助けと為し、終に其の身を亡ぼすに至りて悟らず。至愚にして暁すべからずと謂ふべし。
-
論衡・『論衡』講瑞篇第五十・人が集まることは賢さの証ではない君子は世に在りて、清節自ら守り、広く従を結ばず、出入動作するも、人は附従せず。豪猾の人は、使いに任せ気を用い、往来進退すれば、士衆は雲のごとく合す。夫れ鳳皇は君子なり。必ず随う者の多きを以て鳳皇に験さば、是れ豪黠を君子と為すなり。歌曲は弥いよ妙なれば、和する者は弥いよ寡く、行操は益ます清ければ、交わる者は益ます鮮し。鳥獣も亦た然り。必ず附従を以て鳳皇に験さば、是れ和する者の多きを用て妙曲と為すなり。
-
論語・学而篇子曰く、「君子は食らうに飽くことを求めず、居るに安きを求めず、事に敏にして言に慎み、有道に就いて正す。学を好むと謂う可きのみ。」
-
『酔古堂剣掃』集醒・五更の頭に撿點す自家の是れ君子か小人かを知らんと要せば、只だ五更の頭に於いて撿點し、思想する的是れ甚麼なるかを便ち見得ん。