格言聯璧 / 持躬類・能く足るを知る者は天も貧しくする能はず
能知足者,天不能貧。能忍辱者,天不能禍。 能無求者,天不能賤。能外形骸者,天不能病。 能不貪生者,天不能死。 能隨遇而安者,天不能困。
新字:能知足者,天不能貧。能忍辱者,天不能禍。 能無求者,天不能賤。能外形骸者,天不能病。 能不貪生者,天不能死。 能随遇而安者,天不能困。
書き下し
能く足るを知る者は、天も貧しくする能はず。能く辱めを忍ぶ者は、天も禍ひする能はず。 能く求むる無き者は、天も賤しくする能はず。能く形骸を外にする者は、天も病ましむる能はず。 能く生を貪らざる者は、天も死なしむる能はず。 能く遇ふに隨ひて安んずる者は、天も困しむる能はず。
現代語訳
足るを知ることのできる人は、天でさえ貧しくすることはできません。辱めを耐え忍ぶことのできる人は、天でさえ災いを与えることはできません。 何も求めずにいられる人は、天でさえ卑しくすることはできません。肉体を気にかけずにいられる人は、天でさえ病ませることはできません。 生に執着しない人は、天でさえ死なせることはできません。 出会った境遇に従って安んじることのできる人は、天でさえ困らせることはできません。
解説
「能く〜する者は、天も〜する能はず」という形を重ね、心の持ち方しだいで天の与える不幸さえ無力になることを示す聯です。この列は次の単位の二句まで続きます。知足の人は貧しさを貧しさと感じず、忍辱の人は辱めを禍いとせず、無求の人は卑しい立場を苦にしません。形骸を外にするとは、肉体の不調に心まで振り回されないことで、生を貪らない人にとって死は脅威ではありません。随遇而安は、置かれた場所で安んじることです。外の条件を変えられないとき、受け止める側の心を変えれば、状況の支配から自由になれるという、強さのある教えです。
この章句が説くこと
知足忍辱随遇而安持躬達観
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