格言聯璧 / 持躬類・安きは足るを知るより安きは莫し
受享慮及疾病,則用儉。 安莫安於知足,危莫危於多言。 貴草貴於無求,賤莫賤於多欲,樂莫樂於好善,苦莫苦於多貪,長莫長於博謀,短莫短於自恃,明莫明於體物,暗莫暗於昧幾。
新字:受享慮及疾病,則用倹。 安莫安於知足,危莫危於多言。 貴草貴於無求,賤莫賤於多欲,楽莫楽於好善,苦莫苦於多貪,長莫長於博謀,短莫短於自恃,明莫明於体物,暗莫暗於昧幾。
書き下し
受享して慮り疾病に及べば、則ち儉を用ふ。 安きは足るを知るより安きは莫く、危きは多言より危きは莫し。 貴きは求むる無きより貴きは莫く、賤しきは欲多きより賤しきは莫く、樂しきは善を好むより樂しきは莫く、苦しきは貪り多きより苦しきは莫く、長ずるは博く謀るより長ずるは莫く、短なるは自ら恃むより短なるは莫く、明かなるは物を體するより明かなるは莫く、暗きは幾に昧きより暗きは莫し。
現代語訳
楽しみを受けるときに、それが病気のもとになることまで考えが及べば、おのずと倹約するようになります。 安らかなことで、足るを知ることほど安らかなことはなく、危ういことで、口数が多いことほど危ういことはありません。 尊いことで、求めないことほど尊いことはなく、卑しいことで、欲が多いことほど卑しいことはありません。楽しいことで、善を好むことほど楽しいことはなく、苦しいことで、貪りが多いことほど苦しいことはありません。優れたことで、広く人に相談することほど優れたことはなく、劣ったことで、自分だけを頼みにすることほど劣ったことはありません。明らかなことで、物事の実情を身に引き受けて知ることほど明らかなことはなく、暗いことで、物事の兆しに気づかないことほど暗いことはありません。
解説
最初の句は、享楽が病の元になると考えれば自然に倹約できると言い、節制の動機を身近なところに求めています。続いて「莫し」の最上級の形で、安と危、貴と賤、楽と苦、長と短、明と暗の五組を並べます。知足と多言、無求と多欲、好善と多貪、博謀と自恃、体物と昧幾がそれぞれ対になっています。底本では三行目の頭が「貴草貴於無求」となっていますが、前後の形から「草」は「莫」の誤りと見て読みました。人に広く相談することを長所の最上に置き、自分だけを頼むことを短所の最たるものとするのは、組織で働く人にとって大切な指摘です。
この章句が説くこと
知足寡欲博謀持躬倹約
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