格言聯璧 / 持躬類・風狂雨驟の時に立ち得て定まる
四海和平之福,只是隨緣。 一生牽惹之勞,總因好事。 花繁柳密處撥得開,方見手段。 風狂雨驟時立得定,才是腳跟。 步步占先者,必有人以擠之。
新字:四海和平之福,只是随縁。 一生牽惹之労,総因好事。 花繁柳密処撥得開,方見手段。 風狂雨驟時立得定,才是脚跟。 歩歩占先者,必有人以擠之。
書き下し
四海和平の福は、只だ是れ緣に隨ふ。 一生牽惹の勞は、總て事を好むに因る。 花繁く柳密なる處に撥き得て開くは、方めて手段を見る。 風狂ひ雨驟る時に立ち得て定まるは、才かに是れ腳跟なり。 步步先を占むる者は、必ず人の以て之を擠す有り。
現代語訳
天下が穏やかで平和であるという福は、ただ縁に従うことから生まれます。 一生あれこれに引きずられる苦労は、すべて余計な事をしたがることから生まれます。 花が咲き乱れ柳が茂るような華やかな誘惑のなかで、それをかき分けて抜け出せてこそ、腕前が見えます。 風が狂い雨が激しく降るような時に、しっかり立っていられてこそ、足場が本物です。 一歩ごとに先を取ろうとする者は、必ず誰かに押しのけられます。
解説
縁に随う平安と、事を好む労苦を対比する句から始まる聯です。好事は、ここでは余計な事に首を突っ込みたがる性分をいいます。中ほどの対句は、花繁柳密つまり華やかな誘惑の中をかき分けて抜け出す手腕と、風狂雨驟つまり嵐のような逆境の中で動じない足もととを並べます。順境と逆境の両方で人は試されるのです。最後の句は次の単位の「事事勝を争ふ者は」と対になり、いつも先を取ろうとすれば必ず押しのけられると警告します。何にでも手を出し、いつも一番を狙う生き方が、かえって苦労と摩擦を増やしているのかもしれません。
この章句が説くこと
随縁不争持躬節操処世
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