格言聯璧 / 持躬類・餘り有りて盡さざるの福を留めて以て子孫に貽る
盡前行者地步窄,向後看者眼界寬。 留有餘不盡之巧,以還造化。留有餘不盡之祿,以還朝廷。 留有餘不盡之財,以還百姓。留有餘不盡之福,以貽子孫。
新字:尽前行者地歩窄,向後看者眼界寛。 留有余不尽之巧,以還造化。留有余不尽之禄,以還朝廷。 留有余不尽之財,以還百姓。留有余不尽之福,以貽子孫。
書き下し
前に盡して行く者は地步窄く、後を向きて看る者は眼界寬し。 餘り有りて盡さざるの巧を留めて、以て造化に還す。餘り有りて盡さざるの祿を留めて、以て朝廷に還す。 餘り有りて盡さざるの財を留めて、以て百姓に還す。餘り有りて盡さざるの福を留めて、以て子孫に貽る。
現代語訳
前へ前へと進みきってしまう人は足場が狭くなり、振り返って後ろを見る人は視野が広くなります。 使い尽くさない余りの技巧を残して、天地の造化に返しなさい。使い尽くさない余りの俸禄を残して、朝廷に返しなさい。 使い尽くさない余りの財を残して、民に返しなさい。使い尽くさない余りの福を残して、子孫に贈りなさい。
解説
余地を残すことを説く聯です。前半は、前ばかり見て行き尽くす人は足場を失い、後ろを振り返る人は視野が広がると言い、一歩引く大切さを示します。後半の四句は宋の王伯大が座右に掲げたとされる「四留」の銘として知られ、巧・禄・財・福のいずれも使い尽くさずに残し、それぞれ造化・朝廷・百姓・子孫に返すと言います。技を極め尽くさない、報酬を取り尽くさない、財を貯め込みすぎない、福を使い切らない。何でも最大化しようとする今の時代に、あえて余白を残す生き方を思い出させてくれます。
この章句が説くこと
四留余裕惜福持躬子孫
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