格言聯璧 / 持躬類・聰明睿知、之を守るに愚を以てす
聰明睿知,守之以愚。功被天下,守之以讓。 勇力振世,守之以怯。富有四海,守之以謙。 不與居積人爭富,不與進取人爭貴,不與矜飾人爭名,不與少年人爭英俊,不與盛氣人爭是非。
新字:聰明睿知,守之以愚。功被天下,守之以譲。 勇力振世,守之以怯。富有四海,守之以謙。 不与居積人争富,不与進取人争貴,不与矜飾人争名,不与少年人争英俊,不与盛気人争是非。
書き下し
聰明睿知は、之を守るに愚を以てす。功、天下を被ふも、之を守るに讓を以てす。 勇力、世を振ふも、之を守るに怯を以てす。富、四海を有つも、之を守るに謙を以てす。 居積の人と富を爭はず、進取の人と貴を爭はず、矜飾の人と名を爭はず、少年の人と英俊を爭はず、盛氣の人と是非を爭はず。
現代語訳
聡明で深い知恵があっても、愚かなふうを保って守ります。功績が天下を覆うほどでも、譲る心で守ります。 勇気と力が世を震わせるほどでも、臆病なほどの慎重さで守ります。富が天下に及ぶほどでも、謙虚さで守ります。 財を蓄える人と富を争わず、出世をめざす人と地位を争わず、飾り立てる人と名声を争わず、若者と才気を争わず、血気盛んな人と是非を争いません。
解説
持躬類、つまり身の持し方の冒頭の聯です。前半は『荀子』宥坐篇や『孔子家語』三恕篇に見える、孔子が宥坐の器を前に語った言葉に基づきます。満ちたものを保つには、聡明には愚、功には譲、勇には怯、富には謙という反対の姿勢で守るのだと言います。後半は争わない相手を五つ挙げ、蓄財家とは富を、出世主義者とは地位を、見栄っ張りとは名声を、若者とは才気を、血気盛んな人とは是非を争わないと続けます。持っているものが大きいほど控えめにし、張り合っても得にならない相手とは競わない。これが身を長く保つ知恵です。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
持盈謙虚不争処世修身
関連する章句
-
『慎思録』巻之六白楽天の詩に曰く、得る所皆望みに過ぐ、躬を省みれば良に愧づべしと。白氏は誠に是れ英才善行の人にして、其の言ふ所此くの如し。況んや吾才行無く、人に逮ばざること遠きをや。得る所望外に逾ゆと謂ふべし。韓非の人と為りや、口吃にして道説すること能はずして、善く書を著す。韓文公曰く、当世を化するは言に如くは莫く、来世を化するは書に如くは莫しと。篤信謂ふ、余口吃ならずと雖も、言詞拙陋にして、義理を道説すること能はず。且つ作文庸拙にして、書を著して人に示すこと能はず。蓋し言を出だし書を著すこと、両つながら之を失ふ。何を以て人を化することを得んや。唯だ自ら楽しむを以て事と為すのみ。
-
史記 魏公子列伝魏の公子無忌は、魏の昭王の少子にして魏の安釐王の異母弟なり。昭王薨じ、安釐王即位し、公子を封じて信陵君と為す。是の時、范睢魏を亡げて秦に相たり、魏斉を怨むの故を以て、秦の兵大梁を囲み、魏の華陽の下の軍を破り、芒卯を走らす。魏王及び公子これを患ふ。公子は人と為り仁にして士に下り、士は賢不肖と無く皆謙りて礼もてこれに交はり、敢へてその富貴を以て士に驕らず。士は此を以て方数千里争ひ往きてこれに帰し、食客三千人を致す。是の時に当たりて、諸侯は公子の賢にして客多きを以て、敢へて兵を加へて魏を謀らざること十余年。
-
『武家家訓集』毛利元就三子教訓状「二十歳から四十余年のこと」一元就事二十五年、奧元にはなれ申、至當年于今迄四十餘ヶ年、其內大浪小浪洞に、他家之弓矢いかばかり轉變に候哉、然處元就一人すべりぬけ候て、如此之儀不思議不能申候身ながら、吾等事けな氣者、とうほ手ものにても、智惠才覺人に越候者にても、又正直正路者にて人にすぐれ、神佛の御まぼりあるべき者にても、何之條にてもなく候處に、かやうにすべりぬけ候事、何之段にて候共、更身ながら不及推量候〱、然間はやく〱心安、ちと今生のらくをも仕、心靜に後生のねがひをも仕度候へ共、其段も先ならず候て不及申候〱、
-
『文武訓』文訓上之末一人は只、わが身をかへりみて、わが身のさかしおろかなると、才あるとつたなきとのほどを知りて、つねに人にへりくだり、わが身にほこるべからず。才智ありてもなくしても、わが身にほこりたかぶり、人をこのんで見くだし、又そしるは罪ふかし。いとおろかなりといふべし。
-
『驢鞍橋』卷上夜話に曰く、今時の人すべを知らす、餓鬼畜生をさへ離れすして、二乗見解と云つて声聞縁覚をそしる人あり、あまり土な事なり。人は知らず、我は餓鬼畜生を離れす、誰ほしと云はば、おれほしと云はんずと也。因に人問ふ、日本諸宗の大師先徳に、古は大修行底の人有りや。師曰、知らぬ事なり、残されたる法語等を以て見れば、経文語録の格を以て書示されたると見えたり。実に修行强き人有りとも見えすと也。
-
易経・豫卦周易 第十六卦。坤下震上。易経。豫は、侯を建て師を行るに利ろし。初六、豫を鳴らす、凶。六二、介きこと石の于し、日を終えず、貞にして吉。六三、盱りて豫しむ、悔ゆ。遅ければ悔い有り。九四、由りて豫しむ、大いに得る有り。疑う勿かれ、朋盍ぞ簪まらざらん。六五、貞にして疾む、恒に死せず。上六、豫に冥し、成るも渝わる有り、咎无し。彖に曰く、