格言聯璧 / 存養類・胸懷の牽纏する處は割き得下すを要す
世俗煩惱處,要耐得下。 世事紛擾處,要閑得下。 胸懷牽纏處,要割得下。 境地濃艷處,要淡得下。 意氣忿怒處,要降得下。 以和氣迎人,則乖沴滅。以正氣接物,則妖氛消。
新字:世俗煩悩処,要耐得下。 世事紛擾処,要閑得下。 胸懐牽纏処,要割得下。 境地濃艶処,要淡得下。 意気忿怒処,要降得下。 以和気迎人,則乖沴滅。以正気接物,則妖氛消。
書き下し
世俗の煩惱する處は、耐へ得下すを要す。 世事の紛擾する處は、閑にし得下すを要す。 胸懷の牽纏する處は、割き得下すを要す。 境地の濃艷なる處は、淡くし得下すを要す。 意氣の忿怒する處は、降し得下すを要す。 和氣を以て人を迎ふれば、則ち乖沴滅す。正氣を以て物に接すれば、則ち妖氛消ゆ。
現代語訳
世間のわずらわしいことには、耐えきらなければなりません。 世の中の事がごたごたしているところでは、心をのどかに保たなければなりません。 胸のうちでしがらみに絡まれているところは、断ち切らなければなりません。 境遇が華やかで濃厚なところでは、淡々としていなければなりません。 気持ちが怒りに燃えているところでは、それを鎮めなければなりません。 和やかな気持ちで人を迎えれば、よこしまで不和な気は消えます。正しい気持ちで物事に接すれば、あやしい気配は消えていきます。
解説
「得下す」という口語的な言い回しを五回重ねた聯で、わずらわしさに耐え、ごたごたの中で落ち着き、しがらみを断ち、華やかさに溺れず、怒りを鎮めることを求めます。五つとも、心がどこかに引っ張られる場面で、それを下ろして収めることがテーマです。とくに濃艶な境地で淡くあれという句は、順調で華やかなときにこそ浮かれないよう戒めています。最後の対句は、和気で人を迎えれば不和が消え、正気で物に接すれば怪しい雰囲気が消えると言い、次の単位の「浩気」「静気」へと続きます。自分の気の持ち方が、場の空気を変えるのです。
この章句が説くこと
忍耐存養和気正気淡泊
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