囲炉夜話 / 第百四十八則・心を養ふは須らく淡泊なるべし
守身必嚴謹,凡足以戕吾身者,宜戒之。 養心須淡泊,凡足以累吾心者,勿為也。
新字:守身必厳謹,凡足以戕吾身者,宜戒之。 養心須淡泊,凡足以累吾心者,勿為也。
書き下し
身を守るは必ず嚴謹なれ、凡そ以て吾が身を戕ふに足る者は、宜しく之を戒むべし。 心を養ふは須らく淡泊なるべし、凡そ以て吾が心を累はすに足る者は、爲すこと勿れ。
現代語訳
身を守るには必ず厳しく慎み深くあれ。およそ自分の身をそこなうに足るものは、戒めるべきです。心を養うには淡泊でなければなりません。およそ自分の心をわずらわせるに足るものは、してはいけません。
解説
身を守ることと心を養うことを、厳謹と淡泊の二語で分けて示した則です。前半は、身を守るには厳しく慎み、酒や色欲、無理な働き方など、身を戕う、つまり傷つけるものはすべて戒めよと言います。後半は、心を養うには淡泊、つまり欲や執着の少ないあっさりとした心でいよと言い、心を累わせる、つまり縛り煩わせるものには手を出すなと言います。前半は身に対して厳しく、後半は心に対して軽く、という対比が効いています。身を損なうものは外から来る害で、心を累わせるものは内に生まれる欲なので、守り方も違ってくるというわけです。今日でも、健康を損なう習慣を断つ厳しさと、心をかき乱すものに近づかない淡さの両方が、心身を健やかに保つ秘訣と言えるでしょう。
この章句が説くこと
修身淡泊養生節制慎独
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