格言聯璧 / 存養類・怒は是れ猛虎、欲は是れ深淵
怒是猛虎,欲是深淵。 忿如火,不遏則燎原。 欲如水,不遏則滔天。 懲忿如摧山,窒欲如填壑。 懲忿如救火,窒欲如防水。 心一松散,萬事不可收拾。 心一疏忽,萬事不入耳目。 心一執著,萬事不得自然。
新字:怒是猛虎,欲是深淵。 忿如火,不遏則燎原。 欲如水,不遏則滔天。 懲忿如摧山,窒欲如填壑。 懲忿如救火,窒欲如防水。 心一松散,万事不可収拾。 心一疏忽,万事不入耳目。 心一執著,万事不得自然。
書き下し
怒は是れ猛虎、欲は是れ深淵。 忿は火の如し、遏めざれば則ち原を燎く。 欲は水の如し、遏めざれば則ち天に滔る。 忿を懲らすは山を摧くが如く、欲を窒ぐは壑を填むるが如し。 忿を懲らすは火を救ふが如く、欲を窒ぐは水を防ぐが如し。 心一たび松散すれば、萬事收拾すべからず。 心一たび疏忽なれば、萬事耳目に入らず。 心一たび執著すれば、萬事自然なるを得ず。
現代語訳
怒りは猛々しい虎であり、欲は深い淵です。 怒りは火のようなもので、止めなければ野原を焼き尽くします。 欲は水のようなもので、止めなければ天にまであふれます。 怒りを懲らしめるのは山を砕くようなもので、欲をふさぐのは谷を埋めるようなものです。 怒りを懲らしめるのは火事を消すようなもので、欲をふさぐのは洪水を防ぐようなものです。 心がひとたび緩んでしまうと、万事が収拾できなくなります。 心がひとたびおろそかになると、万事が耳にも目にも入らなくなります。 心がひとたび執着すると、万事が自然に運ばなくなります。
解説
怒りと欲を、虎と淵、火と水にたとえて何度も言い換える聯です。懲忿窒欲は『易経』損卦の象伝「君子以て忿を懲らし欲を窒ぐ」に基づきます。怒りを抑えるのは山を砕くほど、欲をふさぐのは谷を埋めるほど大変で、しかも火事や洪水のように早く手を打たねばならないと、難しさと緊急性の両面を示しています。後半は心の三つの状態を挙げ、緩めば収拾がつかず、疎かになれば何も入らず、執着すれば自然さを失うと言います。怒りに任せて送ったメッセージが取り返しのつかない事態を招くように、初動で止めることの大切さを教えてくれます。
この章句が説くこと
懲忿窒欲存養自制執着
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