格言聯璧 / 存養類・人心は穀種の如し
就性情上理會,則曰涵養。 就念慮上提撕,則曰省察。 就氣質上銷熔,則曰克治。 一動於欲,欲迷則昏。 一任乎氣,氣偏則戾。 人心如谷種,滿腔都是生意,物欲錮之而滯矣。
新字:就性情上理会,則曰涵養。 就念慮上提撕,則曰省察。 就気質上銷熔,則曰克治。 一動於欲,欲迷則昏。 一任乎気,気偏則戻。 人心如谷種,満腔都是生意,物欲錮之而滞矣。
書き下し
性情の上に就きて理會すれば、則ち涵養と曰ふ。 念慮の上に就きて提撕すれば、則ち省察と曰ふ。 氣質の上に就きて銷熔すれば、則ち克治と曰ふ。 一たび欲に動けば、欲迷ひて則ち昏し。 一たび氣に任すれば、氣偏りて則ち戾る。 人心は穀種の如く、滿腔都べて是れ生意なるも、物欲之を錮せば滯る。
現代語訳
本性と感情について会得していくことを、涵養といいます。 思いや考えについて目を覚まさせることを、省察といいます。 生まれつきの気質について溶かして鍛え直すことを、克治といいます。 ひとたび欲に動かされると、欲に迷って心が暗くなります。 ひとたび血気にまかせると、気が偏って道理に背きます。 人の心は穀物の種のようなもので、胸いっぱいに生きる力が満ちていますが、物欲がそれを閉じ込めると伸びが止まってしまいます。
解説
修養の三つの工夫を、何に向けるかで定義した聯です。性情に向ければ涵養、念慮に向ければ省察、気質に向ければ克治と、それぞれの持ち場をはっきりさせています。提撕は目を覚まさせること、銷熔は金属を溶かすように悪い癖を消していくことです。続く二句は欲と気がもたらす害を述べ、最後に人の心を穀物の種にたとえます。種には芽吹く力が満ちているのに、物欲がそれを押し込めているというのです。この比喩は次の単位の「然れども生意未だ嘗て在らずんばあらず」へ続き、心の本来の力への信頼を語ります。
この章句が説くこと
涵養省察克治存養生意
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