格言聯璧 / 學問類・吾が本心を收めて腔子の裏に在らしむ
凜閑居以體獨,卜動念以知幾,謹威儀以定命,敦大倫以凝道,備百行以考德,遷善改過以作聖。 收吾本心在腔子裏,是聖賢第一等學問;盡吾本分在素位中,是聖賢第一等工夫萬理澄澈,則一心愈精而愈謹;一心凝聚,則萬理愈通而愈流。
新字:凜閑居以体独,卜動念以知幾,謹威儀以定命,敦大倫以凝道,備百行以考徳,遷善改過以作聖。 収吾本心在腔子裏,是聖賢第一等学問;尽吾本分在素位中,是聖賢第一等工夫万理澄澈,則一心愈精而愈謹;一心凝聚,則万理愈通而愈流。
書き下し
閑居を凜みて以て獨を體し、動念を卜して以て幾を知り、威儀を謹みて以て命を定め、大倫を敦くして以て道を凝らし、百行を備へて以て德を考へ、善に遷り過を改めて以て聖と作る。 吾が本心を收めて腔子の裏に在らしむるは、是れ聖賢第一等の學問なり。吾が本分を盡して素位の中に在るは、是れ聖賢第一等の工夫なり。萬理澄澈なれば、則ち一心愈いよ精にして愈いよ謹む。一心凝聚すれば、則ち萬理愈いよ通じて愈いよ流る。
現代語訳
独りでいるときにこそ身を引き締めて慎独を体得し、心が動き始める瞬間を見きわめて物事の兆しを知り、立ち居振る舞いを慎んで天命を定め、人倫の大本を厚くして道を身に固め、あらゆる行いを備えて徳を点検し、善に移り過ちを改めて聖人となります。 自分の本来の心を取り戻して胸のうちに収めておくことが、聖賢の第一等の学問です。自分の本分を尽くして今の立場のなかにいることが、聖賢の第一等の工夫です。あらゆる道理が澄みわたれば、心はいよいよ精密になりいよいよ慎み深くなります。心が一つに凝り集まれば、あらゆる道理はいよいよ通じいよいよ流れます。
解説
前半は六つの修養法を並べた長い対句で、独りの時間、心の動き始め、振る舞い、人倫、行い、改過の順に、内から外へと工夫の場を広げています。後半の腔子は胸の内のことで、程顥や朱子の門流が好んだ言葉です。素位は『中庸』の「君子は其の位に素して行ふ」から来ており、今の立場で本分を尽くすことです。最後の二句は、道理が明らかになると心が慎み深くなり、心がまとまると道理が通るという、心と理の往復を述べています。散らかった心を胸に収め、今いる場所で務めを果たすことが一番の学問だという教えは、迷いの多い日々の足場になります。
この章句が説くこと
慎独修身本分存養学問
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