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十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下

又大日經ノ中ニ。在家出家ノ行用ノ別ヲ示シテ此文有ルシヤ。彼在家菩薩受持五戒句。勢位自在。以種種方便道隨順時方。自在攝受。求一切智。乃至謂持不奪生命戒。及不與取。虛妄語。欲邪行。邪見等。是名在家五戒句ト此中不奪生命戒トハ第一ノ不殺生シヤ。不與取トハ第二ノ不偸盜シヤ。虛妄語ハ第四。欲邪行ハ第三。邪見ハ第十シヤ。此文ハ出家タル人ハ十善具足シテ受持スヘク。在家ノ人ハ種種ノ藝能舞伎。四攝法ヲ以テ衆生ヲ攝取スル故ニ。開通アルコトヲ明ス。臣佐ノ類。初心ノ菩薩。護持ノ分際シヤ。要ヲ取テ云ハハ。此五戒タニ滿足スレハ。自ラ十善モソナハル。虛妄語ノ中ニ餘ノ綺語惡口兩舌ヲ攝ス。不與取ノ中ニ不貪欲戒ヲ攝ス。不奪生命戒ノ中ニ不嗔恚戒ヲ攝スルシヤ。

新字:又大日経ノ中ニ。在家出家ノ行用ノ別ヲ示シテ此文有ルシヤ。彼在家菩薩受持五戒句。勢位自在。以種種方便道随順時方。自在摂受。求一切智。乃至謂持不奪生命戒。及不与取。虚妄語。欲邪行。邪見等。是名在家五戒句ト此中不奪生命戒トハ第一ノ不殺生シヤ。不与取トハ第二ノ不偸盗シヤ。虚妄語ハ第四。欲邪行ハ第三。邪見ハ第十シヤ。此文ハ出家タル人ハ十善具足シテ受持スヘク。在家ノ人ハ種種ノ芸能舞伎。四摂法ヲ以テ衆生ヲ摂取スル故ニ。開通アルコトヲ明ス。臣佐ノ類。初心ノ菩薩。護持ノ分際シヤ。要ヲ取テ云ハハ。此五戒タニ満足スレハ。自ラ十善モソナハル。虚妄語ノ中ニ余ノ綺語悪口両舌ヲ摂ス。不与取ノ中ニ不貪欲戒ヲ摂ス。不奪生命戒ノ中ニ不嗔恚戒ヲ摂スルシヤ。

書き下し

又大日経ノ中ニ。在家出家ノ行用ノ別ヲ示シテ此文有ルシヤ。彼在家菩薩受持五戒句。勢位自在。以種種方便道随順時方。自在摂受。求一切智。乃至謂持不奪生命戒。及不与取。虚妄語。欲邪行。邪見等。是名在家五戒句ト此中不奪生命戒トハ第一ノ不殺生シヤ。不与取トハ第二ノ不偸盗シヤ。虚妄語ハ第四。欲邪行ハ第三。邪見ハ第十シヤ。此文ハ出家タル人ハ十善具足シテ受持スヘク。在家ノ人ハ種種ノ芸能舞伎。四摂法ヲ以テ衆生ヲ摂取スル故ニ。開通アルコトヲ明ス。臣佐ノ類。初心ノ菩薩。護持ノ分際シヤ。要ヲ取テ云ハハ。此五戒タニ満足スレハ。自ラ十善モソナハル。虚妄語ノ中ニ余ノ綺語悪口両舌ヲ摂ス。不与取ノ中ニ不貪欲戒ヲ摂ス。不奪生命戒ノ中ニ不嗔恚戒ヲ摂スルシヤ。

現代語訳

また大日経の中に、在家と出家の行いの違いを示して、この文がある。かの在家の菩薩は五戒の句を受け保ち、権勢や地位を自在にし、様々な方便の道によって時と所に従い、自在に人々を受け入れて、一切智を求める。すなわち、不奪生命戒、および不与取、虚妄語、欲邪行、邪見などを保つ。これを在家の五戒の句と名づける、と。この中の不奪生命戒とは第一の不殺生である。不与取とは第二の不偸盗である。虚妄語は第四、欲邪行は第三、邪見は第十である。この文は、出家である人は十善を完全に備えて受け保つべきであり、在家の人は様々な芸能や舞や技や、四摂法によって衆生を受け入れるので、許される幅があることを明らかにしている。臣下の類や初心の菩薩が守り保つ分際である。要点をつかんで言えば、この五戒さえ満ち足りれば、おのずから十善も備わる。虚妄語の中に、他の綺語・悪口・両舌を含む。不与取の中に不貪欲戒を含む。不奪生命戒の中に不瞋恚戒を含むのである。

解説

大日経は、在家の菩薩には十善すべてではなく五つの戒の句を説く。在家は仕事や芸能、布施・愛語・利行・同事の四摂法によって人々と交わるので、出家とは守り方に幅があるというのである。そのうえで尊者は、五戒さえ満たせば十善は自然に備わると言う。嘘をつかない中に飾り言葉・悪口・二枚舌をしないことが含まれ、盗まない中に貪らないことが、殺さない中に怒らないことが含まれる。立場に応じた実践の幅を認めつつ、根本を外さないという柔軟さを学べる。

この章句が説くこと

五戒十善在家四摂法大日経

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