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十善法語 / 巻第十・不邪見戒之上

不惡口戒ソノ身ニアレハ。言語自ラ柔輕ナルシヤ。諸ノ罵詈呵責。惡聲怨言等ノ惡賊煩惱ハヨリツカヌシヤ。不兩舌戒ソノ身ニアレハ。言語ニ仁愛ノ相アラハルル。諸ノ他ノ親好ヲ破リ。隣里鄕黨ノ交ヲ惡クシ。君臣父子ノ間ヲ離スル讒言語諛ノ惡賊煩惱ハヨリツカヌシヤ。不貪欲戒ソノ身ニ有レハ。二六時中。到ル處ニ足ルコトヲ知ル。諸ノ多欲惡貪。威勢ヲ羨ミ。名利ニ耽ル惡賊煩惱ハヨリツカヌシヤ。不嗔恚戒ソノ身ニアレハ。五尺ノ姿全ク慈悲ト相應スル。一切ノ眉ヲ顰シテ額ヲ蹙シテ。目ニ三角ヲ生シ憂惱痛戚。嫉妬變異等ノ惡賊煩惱ハヨリツカヌシヤ。

新字:不悪口戒ソノ身ニアレハ。言語自ラ柔軽ナルシヤ。諸ノ罵詈呵責。悪声怨言等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不両舌戒ソノ身ニアレハ。言語ニ仁愛ノ相アラハルル。諸ノ他ノ親好ヲ破リ。隣里郷党ノ交ヲ悪クシ。君臣父子ノ間ヲ離スル讒言語諛ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不貪欲戒ソノ身ニ有レハ。二六時中。到ル処ニ足ルコトヲ知ル。諸ノ多欲悪貪。威勢ヲ羨ミ。名利ニ耽ル悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不嗔恚戒ソノ身ニアレハ。五尺ノ姿全ク慈悲ト相応スル。一切ノ眉ヲ顰シテ額ヲ蹙シテ。目ニ三角ヲ生シ憂悩痛戚。嫉妬変異等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。

書き下し

不悪口戒ソノ身ニアレハ。言語自ラ柔軽ナルシヤ。諸ノ罵詈呵責。悪声怨言等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不両舌戒ソノ身ニアレハ。言語ニ仁愛ノ相アラハルル。諸ノ他ノ親好ヲ破リ。隣里郷党ノ交ヲ悪クシ。君臣父子ノ間ヲ離スル讒言語諛ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不貪欲戒ソノ身ニ有レハ。二六時中。到ル処ニ足ルコトヲ知ル。諸ノ多欲悪貪。威勢ヲ羨ミ。名利ニ耽ル悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。不嗔恚戒ソノ身ニアレハ。五尺ノ姿全ク慈悲ト相応スル。一切ノ眉ヲ顰シテ額ヲ蹙シテ。目ニ三角ヲ生シ憂悩痛戚。嫉妬変異等ノ悪賊煩悩ハヨリツカヌシヤ。

現代語訳

不悪口戒がその身にあれば、言葉はおのずから柔らかくなる。さまざまな罵りや叱責、荒々しい声や怨みの言葉などの悪賊のような煩悩は寄りつかないのである。不両舌戒がその身にあれば、言葉に仁愛の姿が現れる。他人の親しい仲を壊し、隣近所や郷里の交わりを悪くし、君臣や父子の間を裂く讒言やへつらいなどの悪賊のような煩悩は寄りつかないのである。不貪欲戒がその身にあれば、一日中どこにいても足ることを知る。さまざまな多欲や悪しき貪り、権勢を羨み、名誉や利益にふける悪賊のような煩悩は寄りつかないのである。不瞋恚戒がその身にあれば、五尺の身がそのまま慈悲とかなう。一切の、眉をひそめ額にしわを寄せ、目を三角にして、憂い悩み痛み悲しみ、嫉妬して顔色を変えるなどの悪賊のような煩悩は寄りつかないのである。

解説

不悪口・不両舌・不貪欲・不瞋恚の四つの戒が身にある姿を描く。悪口を離れた言葉は柔らかく、両舌を離れた言葉には仁愛が現れ、貪欲を離れれば一日中どこでも足ることを知り、瞋恚を離れれば身体全体が慈悲とかなう。眉をひそめ、額にしわを寄せ、目を三角にするという描写は、怒りや嫉妬が表情にまで出ることを具体的に示していて、聞く人々の目に浮かぶように語られている。戒の有無は顔つきや声の調子にまで現れるという見方は、自分を省みる手がかりとして使いやすい。

この章句が説くこと

不悪口不両舌不貪欲不瞋恚慈悲知足

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