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十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下

此道有テ此天地アル。此天地有テ此人アル。古モ溪山日月。今モ溪山日月。古モ男女大小。今モ亦男女大小。此人ノ人タル道ハ。佛出世ニモアレ。佛滅後ニモアレ。常ニ世間ニ在テ衆生ヲ利益スルシヤ。人機衰テ道行レヌト云ハ非シヤ。時世異ニシテ法利益ナシト云ハ。愚ノ甚シキシヤ。此末法世中。一般ノ人有テ戒法ヲ持ツハムツカシキコトソ。通人ノ及フ所ナラスト云。此一言ヲ以テ。衆人ノ眼ヲ瞎却シ。引テ黑暗路ニ入ル。

新字:此道有テ此天地アル。此天地有テ此人アル。古モ渓山日月。今モ渓山日月。古モ男女大小。今モ亦男女大小。此人ノ人タル道ハ。仏出世ニモアレ。仏滅後ニモアレ。常ニ世間ニ在テ衆生ヲ利益スルシヤ。人機衰テ道行レヌト云ハ非シヤ。時世異ニシテ法利益ナシト云ハ。愚ノ甚シキシヤ。此末法世中。一般ノ人有テ戒法ヲ持ツハムツカシキコトソ。通人ノ及フ所ナラスト云。此一言ヲ以テ。衆人ノ眼ヲ瞎却シ。引テ黒暗路ニ入ル。

書き下し

此道有テ此天地アル。此天地有テ此人アル。古モ渓山日月。今モ渓山日月。古モ男女大小。今モ亦男女大小。此人ノ人タル道ハ。仏出世ニモアレ。仏滅後ニモアレ。常ニ世間ニ在テ衆生ヲ利益スルシヤ。人機衰テ道行レヌト云ハ非シヤ。時世異ニシテ法利益ナシト云ハ。愚ノ甚シキシヤ。此末法世中。一般ノ人有テ戒法ヲ持ツハムツカシキコトソ。通人ノ及フ所ナラスト云。此一言ヲ以テ。衆人ノ眼ヲ瞎却シ。引テ黒暗路ニ入ル。

現代語訳

この道があってこの天地がある。この天地があってこの人がある。昔も谷や山や日月があり、今も谷や山や日月がある。昔も男女や大人子どもがおり、今もまた男女や大人子どもがいる。この人が人である道は、仏が世に出られた時であれ、仏の滅後であれ、常に世間にあって衆生を利益するのである。人の素質が衰えて道が行われないと言うのは誤りである。時代が違って法に利益がないと言うのは、愚かの甚だしいものである。この末法の世の中で、ある種の人がいて、戒法を保つのは難しいことだ、普通の人の及ぶ所ではない、と言う。この一言によって、多くの人の眼をつぶし、引いて暗闇の路に入れてしまう。

解説

全十二巻の結びに向けて、尊者は末法思想への反論を置く。昔も今も山川や日月は変わらず、男女も大人も子どももいる。人の人たる道は仏の在世も滅後も変わらず世にある。時代が悪いから道は行われないとか、戒は凡人には無理だとかいう一言が、人々の目をふさいで暗い道に引き込むと言うのである。時代のせいにして基本をあきらめる言葉は、今の職場にもある。誰かのそうした一言が、周りの意欲を奪っていないか。自分の口癖を点検させる。

この章句が説くこと

十善人の道末法時代

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