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十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下

一切世間往トシテ聖智見ナラヌコトハナク。一切事物一トシテ聖智見ナラヌコトハナキシヤ。且ク業相ニ因テ此人間五尺ノ小身トナリ來ル。頭上ニ蒼蒼タル者ヲ天ト名ツクル。此處ニ理アリ命アル。常ニ運轉シテ端ナシ。緣アレハ此天神ヲ見ルシヤ。下ニ塊然タル者ヲ地ト名クル。此中ニ物アリ事アル。萬物ヲ生育シテ止ヌ。緣アレハ此地神ヲ見ルシヤ。此天ニ日月五星アル。二十八宿諸星辰アル。悉ク萬古ニ亘テ相違セヌ。天命常ナシ。善ニ與フル。斷常二見ハ此處ニ超過シテ餘ナキシヤ。此日月各神靈アル。諸宿曜ミナ神靈アル。陰德アル者ハ其冥助ヲ得ル。此等ミナ得道ノ者ノ親ク見ル處シヤ。

新字:一切世間往トシテ聖智見ナラヌコトハナク。一切事物一トシテ聖智見ナラヌコトハナキシヤ。且ク業相ニ因テ此人間五尺ノ小身トナリ来ル。頭上ニ蒼蒼タル者ヲ天ト名ツクル。此処ニ理アリ命アル。常ニ運転シテ端ナシ。縁アレハ此天神ヲ見ルシヤ。下ニ塊然タル者ヲ地ト名クル。此中ニ物アリ事アル。万物ヲ生育シテ止ヌ。縁アレハ此地神ヲ見ルシヤ。此天ニ日月五星アル。二十八宿諸星辰アル。悉ク万古ニ亘テ相違セヌ。天命常ナシ。善ニ与フル。断常二見ハ此処ニ超過シテ余ナキシヤ。此日月各神霊アル。諸宿曜ミナ神霊アル。陰徳アル者ハ其冥助ヲ得ル。此等ミナ得道ノ者ノ親ク見ル処シヤ。

書き下し

一切世間往トシテ聖智見ナラヌコトハナク。一切事物一トシテ聖智見ナラヌコトハナキシヤ。且ク業相ニ因テ此人間五尺ノ小身トナリ来ル。頭上ニ蒼蒼タル者ヲ天ト名ツクル。此処ニ理アリ命アル。常ニ運転シテ端ナシ。縁アレハ此天神ヲ見ルシヤ。下ニ塊然タル者ヲ地ト名クル。此中ニ物アリ事アル。万物ヲ生育シテ止ヌ。縁アレハ此地神ヲ見ルシヤ。此天ニ日月五星アル。二十八宿諸星辰アル。悉ク万古ニ亘テ相違セヌ。天命常ナシ。善ニ与フル。断常二見ハ此処ニ超過シテ余ナキシヤ。此日月各神霊アル。諸宿曜ミナ神霊アル。陰徳アル者ハ其冥助ヲ得ル。此等ミナ得道ノ者ノ親ク見ル処シヤ。

現代語訳

一切の世間は、どこへ行っても聖なる智見でないことはなく、一切の事物は、一つとして聖なる智見でないことはないのである。しばらく業のありさまによって、この人間の五尺の小さな身となって来ている。頭の上に青々と広がるものを天と名づける。ここに理があり、命がある。常に巡り動いて端がない。縁があればこの天の神を見るのである。下にどっしりと塊になっているものを地と名づける。この中に物があり事がある。万物を生み育てて止まない。縁があればこの地の神を見るのである。この天には日月と五つの惑星がある。二十八宿や諸々の星辰がある。ことごとく万古にわたって違うことがない。天命は常ならず、善なる者に与える。断見と常見の二つの見方は、ここで超えて余すところがないのである。この日月にはそれぞれ神霊がある。諸々の星宿にもみな神霊がある。陰徳のある者はその目に見えない助けを得る。これらはみな道を得た者が親しく見る所である。

解説

六根の働きに続いて、目を天地に向ける段である。天は常に巡って端がなく、日月星辰は万古に違わず運行するから、すべてが途絶えるという断見は成り立たない。一方で天命は常ならず、善に与えるから、固定した運命という常見も成り立たない。天命常なしは書経などに通じる考え方である。日月星辰に神霊があり、陰徳ある者は冥助を得るというのは、尊者がそう説いた当時の世界観である。人知れず積む善が見えない所で報われるという信頼は、今日の働き方をも支える。

この章句が説くこと

天命陰徳断常神霊聖智見

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