十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下
事事常常隔シテ相容レヌ。理ハ常ニ虛通シテ障礙ナイ。一切世間ニ理外ノ物ナク。一切世間ニ事外ノ理ナク。理事元來不二シヤ。理事不二ナレハ。斷常ノ二見ハ本來解脫スル。心境元來不二シヤ。自他元來不二シヤ。迷悟元來不二シヤ。佛界ヲ知フト思ハハ衆生界ニ入テ見ヨ。大道徹底ノ處ヲ尋子ンニハ迷ノ源底ヲ窮テ看ヨ。唯知ラヌ者カ知ヌハカリ。解セヌ者カ解セヌハカリソ。華嚴ノ中ニ。正ク此戒相ヲ示ス。又離邪見菩薩住於正道不行占卜。不取惡戒。心見正直無証無諂。於佛法僧起決定信トアル。
新字:事事常常隔シテ相容レヌ。理ハ常ニ虚通シテ障礙ナイ。一切世間ニ理外ノ物ナク。一切世間ニ事外ノ理ナク。理事元来不二シヤ。理事不二ナレハ。断常ノ二見ハ本来解脱スル。心境元来不二シヤ。自他元来不二シヤ。迷悟元来不二シヤ。仏界ヲ知フト思ハハ衆生界ニ入テ見ヨ。大道徹底ノ処ヲ尋子ンニハ迷ノ源底ヲ窮テ看ヨ。唯知ラヌ者カ知ヌハカリ。解セヌ者カ解セヌハカリソ。華厳ノ中ニ。正ク此戒相ヲ示ス。又離邪見菩薩住於正道不行占卜。不取悪戒。心見正直無証無諂。於仏法僧起決定信トアル。
書き下し
事事常常隔シテ相容レヌ。理ハ常ニ虚通シテ障礙ナイ。一切世間ニ理外ノ物ナク。一切世間ニ事外ノ理ナク。理事元来不二シヤ。理事不二ナレハ。断常ノ二見ハ本来解脱スル。心境元来不二シヤ。自他元来不二シヤ。迷悟元来不二シヤ。仏界ヲ知フト思ハハ衆生界ニ入テ見ヨ。大道徹底ノ処ヲ尋子ンニハ迷ノ源底ヲ窮テ看ヨ。唯知ラヌ者カ知ヌハカリ。解セヌ者カ解セヌハカリソ。華厳ノ中ニ。正ク此戒相ヲ示ス。又離邪見菩薩住於正道不行占卜。不取悪戒。心見正直無証無諂。於仏法僧起決定信トアル。
現代語訳
事と事とは常に隔たって相容れない。理は常にすみずみまで通じて妨げがない。一切の世間に理の外の物はなく、一切の世間に事の外の理はない。理と事はもともと二つでないのである。理と事が二つでなければ、断見と常見の二つの見方は、もともと解き放たれている。心と境界はもともと二つでないのである。自と他はもともと二つでないのである。迷いと悟りはもともと二つでないのである。仏の世界を知ろうと思うならば、衆生の世界に入って見よ。大道の底を尋ねようとするなら、迷いの源の底を窮めて見よ。ただ知らない者が知らないだけ、理解しない者が理解しないだけである。華厳経の中に、まさしくこの戒のありさまを示している。また、邪見を離れる。菩薩は正道に住して占いを行わず、悪しき戒を取らず、心の見方は正直で、偽りなく、へつらいなく、仏法僧に対して揺るがない信を起こす、とある。
解説

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