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十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下

日夜苦惱アル故。難ヲサケ易ニ就ク。勞ヲ厭ヒ逸樂ヲ求ル。凡情ノアリサマカウシヤ。忽忽トシテ難ヲ避テ。此難カ避得ラレヌ。孳孳トシテ樂ヲ求テ。此樂カ求得ラレヌ。更ニ内ニ臟腑ノ虛實。骨肉皮膚ノ强弱アル。外ニ風寒暑濕。時候ノ順不順アル。若ハ內緣若ハ外緣。種種ノ病ヲ生スル。此身アレハ此病ナシト云レヌ。病アレハ種種ノ苦アル。人ニ捶打セラルルヨリモ苦ム。上下貴賤智愚共ニ目ニ見エタコトシヤ。

新字:日夜苦悩アル故。難ヲサケ易ニ就ク。労ヲ厭ヒ逸楽ヲ求ル。凡情ノアリサマカウシヤ。忽忽トシテ難ヲ避テ。此難カ避得ラレヌ。孳孳トシテ楽ヲ求テ。此楽カ求得ラレヌ。更ニ内ニ臓腑ノ虚実。骨肉皮膚ノ強弱アル。外ニ風寒暑湿。時候ノ順不順アル。若ハ内縁若ハ外縁。種種ノ病ヲ生スル。此身アレハ此病ナシト云レヌ。病アレハ種種ノ苦アル。人ニ捶打セラルルヨリモ苦ム。上下貴賤智愚共ニ目ニ見エタコトシヤ。

書き下し

日夜苦悩アル故。難ヲサケ易ニ就ク。労ヲ厭ヒ逸楽ヲ求ル。凡情ノアリサマカウシヤ。忽忽トシテ難ヲ避テ。此難カ避得ラレヌ。孳孳トシテ楽ヲ求テ。此楽カ求得ラレヌ。更ニ内ニ臓腑ノ虚実。骨肉皮膚ノ强弱アル。外ニ風寒暑湿。時候ノ順不順アル。若ハ内縁若ハ外縁。種種ノ病ヲ生スル。此身アレハ此病ナシト云レヌ。病アレハ種種ノ苦アル。人ニ捶打セラルルヨリモ苦ム。上下貴賤智愚共ニ目ニ見エタコトシヤ。

現代語訳

日夜苦しみ悩みがあるから、難しいことを避けてたやすいことに就き、労苦を嫌って安楽を求める。凡夫の心のありさまはこうである。慌ただしく難を避けても、この難は避けきれない。せっせと楽を求めても、この楽は求めきれない。さらに内には内臓の虚実や、骨・肉・皮膚の強弱がある。外には風・寒さ・暑さ・湿気や、時節の順不順がある。内の縁であれ外の縁であれ、様々な病を生じる。この身がある以上、この病が無いとは言えない。病があれば様々な苦しみがある。人に打ち叩かれるよりも苦しむ。上下・貴賤・賢愚ともに、目に見えて明らかなことである。

解説

人は苦を避けて楽を求めるが、避けても避けきれず、求めても求めきれない、という凡情の姿を描く。そのうえで、体を持つ以上は内の体質と外の気候の両方から病が生じ、誰も逃れられないと言う。身分や賢愚の差はここでは何の役にも立たない。この直視は悲観のためではなく、逃げ回る生き方の空しさに気づかせるためのものである。難しい仕事から逃げても別の難が来る。避けることに力を使うより、引き受けて向き合う方が心は定まる。

この章句が説くこと

凡夫無常身体

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