師導古典を学びたいすべての人に

十善法語 / 巻第十二・不邪見戒之下

此衆不淨聚ノ外面。一重ノ引ツラナリタルヲ。薄皮厚皮ト云。濁水ノ泡ノ如ク。豆腐ノユバノ如クシヤ。此一重ノ皮カ裏ミ覆テ。且ク內ノ穢シキヲ藏スヲ。人間ノ有樣トス。世ノ輕躁ナル者カ。其皮ノミヲ見テ。膿血諸ノ不淨ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此内外ノ臭穢ナル物ヲ。外ノ莊嚴具。外ノ香氣ナトヲ假テ。且クマキラハシ置クヲ。通途世間人間ノアリサマトス。輕躁ナル者カ此假借ノ莊嚴具香氣ハカリヲ見テ。本體ノ臭穢ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此外面ノ薄皮。內ノ肉血ト相映シテ。色ノ黑白分ルル。此唯上ツラノ身色ノミヲ見テ。本體ノ肉血薄皮厚皮ヲ忘レ居ルヲ迷ト云シヤ。

新字:此衆不浄聚ノ外面。一重ノ引ツラナリタルヲ。薄皮厚皮ト云。濁水ノ泡ノ如ク。豆腐ノユバノ如クシヤ。此一重ノ皮カ裏ミ覆テ。且ク内ノ穢シキヲ蔵スヲ。人間ノ有様トス。世ノ軽躁ナル者カ。其皮ノミヲ見テ。膿血諸ノ不浄ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此内外ノ臭穢ナル物ヲ。外ノ荘厳具。外ノ香気ナトヲ仮テ。且クマキラハシ置クヲ。通途世間人間ノアリサマトス。軽躁ナル者カ此仮借ノ荘厳具香気ハカリヲ見テ。本体ノ臭穢ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此外面ノ薄皮。内ノ肉血ト相映シテ。色ノ黒白分ルル。此唯上ツラノ身色ノミヲ見テ。本体ノ肉血薄皮厚皮ヲ忘レ居ルヲ迷ト云シヤ。

書き下し

此衆不浄聚ノ外面。一重ノ引ツラナリタルヲ。薄皮厚皮ト云。濁水ノ泡ノ如ク。豆腐ノユバノ如クシヤ。此一重ノ皮カ裏ミ覆テ。且ク内ノ穢シキヲ蔵スヲ。人間ノ有様トス。世ノ軽躁ナル者カ。其皮ノミヲ見テ。膿血諸ノ不浄ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此内外ノ臭穢ナル物ヲ。外ノ荘厳具。外ノ香気ナトヲ仮テ。且クマキラハシ置クヲ。通途世間人間ノアリサマトス。軽躁ナル者カ此仮借ノ荘厳具香気ハカリヲ見テ。本体ノ臭穢ヲ憶念セヌヲ迷ト云。此外面ノ薄皮。内ノ肉血ト相映シテ。色ノ黒白分ルル。此唯上ツラノ身色ノミヲ見テ。本体ノ肉血薄皮厚皮ヲ忘レ居ルヲ迷ト云シヤ。

現代語訳

この多くの不浄の集まりの外側に、一重に張りつらなっているものを、薄皮・厚皮という。濁った水の泡のようであり、豆腐の湯葉のようである。この一重の皮が包み覆って、しばらく内側の汚いものを隠しているのを、人間のありさまとする。世の軽はずみな者が、その皮だけを見て、膿や血などの不浄を思わないのを迷いという。この内も外も臭く汚れた物を、外の飾りや外の香りなどを借りて、しばらく紛らわせておくのを、世間一般の人間のありさまとする。軽はずみな者が、この借り物の飾りや香りばかりを見て、本体の臭く汚れたものを思わないのを迷いという。この外側の薄皮が、内側の肉や血と映り合って、色の黒い白いが分かれる。ただこの上辺の肌の色だけを見て、本体の肉と血と薄皮・厚皮を忘れているのを迷いというのである。

解説

人の外見を、皮一枚、飾り、肌の色の三段に分けて、そのどれにも目を奪われることを迷いと呼ぶ段である。湯葉や泡という身近な喩えで、美しく見えるものの薄さを示している。仏教の不浄観の説き方としては、当時ごく一般的なものである。ここで大事なのは人の体を貶めることではなく、見えている表面と本体を取り違えるなという点である。身なりや肌の色、飾りで人の値打ちを量っていないか。人を見る時の自分の目の癖を点検する材料になる。

この章句が説くこと

不浄観迷い外見執着身体

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる