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十善法語 / 巻第十・不邪見戒之上

此ヨリ更ニ下劣ナル者ハ。國國ノ中ニモ大方人數モ定リ有テ。人カ死シテ鬼トナル。鬼カ死シテ又人ト成ル。メクリ旋ルト覺ユル。總シテ緣起ノ法トシテ。此土地有テ此人アル。此人有テ此穀米器財アル。國ノ廣狹。人ノ多少。穀米器財ノ有無。皆其分限ノ顯ハルヽモノナリ。是ヲ肉眼ヲ以テ見。妄想ヲ以テ思量スレハ。如上ノ見處ヲ起スモサモ有ルヘキコトシヤ。經ノ中ニ輪王十善ノ世人民熾盛ナレハ。海水減シテ土地ヲ增ストアル。肉眼ヲ以テ定ムヘキ事ニ非ス。妄想ヲ以テ計ルヘキ事ニ非ス。

新字:此ヨリ更ニ下劣ナル者ハ。国国ノ中ニモ大方人数モ定リ有テ。人カ死シテ鬼トナル。鬼カ死シテ又人ト成ル。メクリ旋ルト覚ユル。総シテ縁起ノ法トシテ。此土地有テ此人アル。此人有テ此穀米器財アル。国ノ広狭。人ノ多少。穀米器財ノ有無。皆其分限ノ顕ハルヽモノナリ。是ヲ肉眼ヲ以テ見。妄想ヲ以テ思量スレハ。如上ノ見処ヲ起スモサモ有ルヘキコトシヤ。経ノ中ニ輪王十善ノ世人民熾盛ナレハ。海水減シテ土地ヲ增ストアル。肉眼ヲ以テ定ムヘキ事ニ非ス。妄想ヲ以テ計ルヘキ事ニ非ス。

書き下し

此ヨリ更ニ下劣ナル者ハ。国国ノ中ニモ大方人数モ定リ有テ。人カ死シテ鬼トナル。鬼カ死シテ又人ト成ル。メクリ旋ルト覚ユル。総シテ縁起ノ法トシテ。此土地有テ此人アル。此人有テ此穀米器財アル。国ノ広狭。人ノ多少。穀米器財ノ有無。皆其分限ノ顕ハルヽモノナリ。是ヲ肉眼ヲ以テ見。妄想ヲ以テ思量スレハ。如上ノ見処ヲ起スモサモ有ルヘキコトシヤ。経ノ中ニ輪王十善ノ世人民熾盛ナレハ。海水減シテ土地ヲ增ストアル。肉眼ヲ以テ定ムヘキ事ニ非ス。妄想ヲ以テ計ルヘキ事ニ非ス。

現代語訳

これよりさらに劣った者は、国々の中でもおおよそ人の数は決まっていて、人が死んで霊となり、霊が死んでまた人となって、巡り巡るのだと思う。総じて縁起の法として、この土地があってこの人がおり、この人があってこの穀物や器物・財産がある。国の広い狭い、人の多い少ない、穀物や器物・財産の有無は、みなその分限が現れたものである。これを肉眼で見て、妄想で思い量れば、上に述べたような見方を起こすのももっともなことである。経の中に、転輪聖王が十善で治める世には人民が栄えて多くなるので、海水が減って土地が増える、とある。肉眼で定めるべき事ではない。妄想で計るべき事ではない。

解説

常見の最も劣った形として、国ごとの人数は決まっていて、死者と生者が入れ替わりながら巡っているだけだという考えを取り上げる段である。尊者は、土地と人と財の釣り合いは縁起によってその分限が現れたものであり、肉眼で見て数合わせのように考えればそう思うのも無理はないと一応認める。しかし経には、転輪聖王が十善で国を治めれば人民が栄え、海が退いて土地が増えるとあり、世界の広さや人の数も固定したものではないと説く。目に見える数字だけで世界を閉じた箱と考える発想への戒めとして読める。

この章句が説くこと

常見縁起十善輪王分限妄想

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