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十善法語 / 巻第六・不惡口戒

若實事ナキニ。故ニ設ケナシテ罵詈スルハ。惡口ニ妄語ヲ兼ル。若嘲弄シテ罵詈スレハ綺語ヲ兼ル。若他ノ親好ヲ破スレハ。兩舌ヲ兼ル。內心ニ毒ヲ含ミテ。口ニ此麁獷ノ辭ヲ出ス。或ハ憍慢倨傲他ヲ蔑ニシテ。罵詈ノ言辭ヲ出ス。或ハ小根怯弱ノ者。自高フルコトヲ好テ此麁言アル。或輕躁ノ性。卑賤ノ習ヒ。口業麁惡ナル類。ミナ此戒違犯ノ差排ナルシヤ。

新字:若実事ナキニ。故ニ設ケナシテ罵詈スルハ。悪口ニ妄語ヲ兼ル。若嘲弄シテ罵詈スレハ綺語ヲ兼ル。若他ノ親好ヲ破スレハ。両舌ヲ兼ル。内心ニ毒ヲ含ミテ。口ニ此麁獷ノ辞ヲ出ス。或ハ憍慢倨傲他ヲ蔑ニシテ。罵詈ノ言辞ヲ出ス。或ハ小根怯弱ノ者。自高フルコトヲ好テ此麁言アル。或軽躁ノ性。卑賤ノ習ヒ。口業麁悪ナル類。ミナ此戒違犯ノ差排ナルシヤ。

書き下し

若実事ナキニ。故ニ設ケナシテ罵詈スルハ。悪口ニ妄語ヲ兼ル。若嘲弄シテ罵詈スレハ綺語ヲ兼ル。若他ノ親好ヲ破スレハ。両舌ヲ兼ル。内心ニ毒ヲ含ミテ。口ニ此麁獷ノ辞ヲ出ス。或ハ憍慢倨傲他ヲ蔑ニシテ。罵詈ノ言辞ヲ出ス。或ハ小根怯弱ノ者。自高フルコトヲ好テ此麁言アル。或軽躁ノ性。卑賤ノ習ヒ。口業麁悪ナル類。ミナ此戒違犯ノ差排ナルシヤ。

現代語訳

もし事実がないのに、わざと作り上げて罵るのは、悪口に妄語を兼ねる。もしからかって罵れば、綺語を兼ねる。もし他人の親しい仲を壊せば、両舌を兼ねる。心の内に毒を含んで、口にこの荒々しい言葉を出す。あるいは驕り高ぶって他人を蔑ろにし、罵りの言葉を出す。あるいは器が小さく臆病な者が、自分を高く見せることを好んでこの荒い言葉がある。あるいは軽はずみな性質や卑しい習慣から、口の業が荒々しい類。みなこの戒の違反の種類なのである。

解説

悪口がほかの口の悪と結びつく形を整理する。事実無根で罵れば嘘を、嘲って罵れば飾った言葉を、仲を裂けば二枚舌を兼ねる。悪口の出どころとして、心に含んだ毒、他人を見下す驕り、器が小さく臆病な者が自分を大きく見せようとする心、軽はずみな性格や卑しい習慣を挙げる。とくに、弱い者ほど強がって荒い言葉を使うという指摘は鋭い。人を罵りたくなったとき、その言葉が自分の不安や劣等感から出ていないかを見つめ直す手がかりになる。

この章句が説くこと

悪口憍慢怯弱妄語両舌

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