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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

此風灾ハ。風輪際ヨリ毗嵐猛風起テ。世界ノ物ヲ吹仆ス。日輪月輪。諸天ノ宮殿ヲモ吹チラシ。互ニ扣擊シテ微塵トナル。諸ノ須彌鐵圍山ヲモ吹チラシ。互ニ扣擊シテ微塵トナル。タトヘハ米麥ノ粉ヲ旋風ニチラス如クト云コトシヤ。此三灾ヲ前ノ饑饉等ノ小ノ三灾ニ對シテ。大ノ三灾ト名ツク。此ヨリシテ又世界成立シテ。七ツノ火灾アリテ一ノ水灾アリ。七ツノ火灾アリテ一ノ水灾アリ。七七四十九ノ火灾。七ツノ水灾有テ一ノ風灾アリ。又七七ノ火灾。七ツノ水灾アリテ一ノ風灾アル。此風灾ハ第三禪天ニ至ルト。佛說ニカクノ如クアルコトシヤ。

新字:此風災ハ。風輪際ヨリ毗嵐猛風起テ。世界ノ物ヲ吹仆ス。日輪月輪。諸天ノ宮殿ヲモ吹チラシ。互ニ扣撃シテ微塵トナル。諸ノ須弥鉄囲山ヲモ吹チラシ。互ニ扣撃シテ微塵トナル。タトヘハ米麦ノ粉ヲ旋風ニチラス如クト云コトシヤ。此三災ヲ前ノ饑饉等ノ小ノ三災ニ対シテ。大ノ三災ト名ツク。此ヨリシテ又世界成立シテ。七ツノ火災アリテ一ノ水災アリ。七ツノ火災アリテ一ノ水災アリ。七七四十九ノ火災。七ツノ水災有テ一ノ風災アリ。又七七ノ火災。七ツノ水災アリテ一ノ風災アル。此風災ハ第三禅天ニ至ルト。仏説ニカクノ如クアルコトシヤ。

書き下し

此風灾ハ。風輪際ヨリ毗嵐猛風起テ。世界ノ物ヲ吹仆ス。日輪月輪。諸天ノ宮殿ヲモ吹チラシ。互ニ扣擊シテ微塵トナル。諸ノ須弥鉄囲山ヲモ吹チラシ。互ニ扣擊シテ微塵トナル。タトヘハ米麦ノ粉ヲ旋風ニチラス如クト云コトシヤ。此三灾ヲ前ノ饑饉等ノ小ノ三灾ニ対シテ。大ノ三灾ト名ツク。此ヨリシテ又世界成立シテ。七ツノ火灾アリテ一ノ水灾アリ。七ツノ火灾アリテ一ノ水灾アリ。七七四十九ノ火灾。七ツノ水灾有テ一ノ風灾アリ。又七七ノ火灾。七ツノ水灾アリテ一ノ風灾アル。此風灾ハ第三禅天ニ至ルト。仏説ニカクノ如クアルコトシヤ。

現代語訳

この風災は、風輪の際から毘嵐の猛風が起こって、世界の物を吹き倒す。日輪・月輪、諸天の宮殿をも吹き散らし、互いにぶつかり合って微塵となる。諸々の須弥山や鉄囲山をも吹き散らし、互いにぶつかり合って微塵となる。例えば米や麦の粉をつむじ風に散らすようだということである。この三災を、前の飢饉などの小の三災に対して、大の三災と名づける。これよりまた世界が成立して、七つの火災があって一つの水災があり、七つの火災があって一つの水災があり、七七四十九の火災と七つの水災があって一つの風災がある。また七七の火災と七つの水災があって一つの風災がある。この風災は第三禅天に至ると。仏説にこのようにあることである。

解説

火災・水災に続く最大の災い、風災の描写である。風輪から起こる毘嵐の猛風が、日や月や天の宮殿、須弥山や鉄囲山までも吹き散らし、ぶつけ合って微塵にする。米や麦の粉をつむじ風に散らすようだという譬えが印象的である。これら火・水・風の大の三災は、飢饉・疫病・刀兵の小の三災と対になる。尊者は仏説としてこれを伝える。これほど大きな壊滅も規則に従って巡るという描写は、人の小さな怒りを宇宙の尺度の中に置き直し、相対化する効果を持っている。

この章句が説くこと

風災大三災小三災須弥山無常

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