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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

此七年七月七日ノ雨。饑饉灾ハ愛欲ノ水ヨリ增長ス。衆生ノ心中ニ愛欲ノ水增長スレハ。世間ニ此灾起ルトアル。七月七日ノ疾疫灾ハ散亂愚癡ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ散亂愚癡增長スレハ世間ニ此灾禍生ストアル。後ノ刀兵灾ハ瞋恚ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ瞋恚增長スレハ。世間ニ此灾生スルト云コトシヤ。此三毒三灾ノ中ニ。初ノ七年七月七日ノ雨。饑饉灾。次ノ七月七日ノ疾疫ニ死スル人ヨリモ。後七日ノ瞋恚鬪諍ニ繇テ死スル人ノ倍倍增長ナルヲ以テ。瞋恚ノ大害アルコトヲ知ヘキシヤ。其七日過テ。日月ノ光彩アラハレ。氣候常ニ復ル。

新字:此七年七月七日ノ雨。饑饉災ハ愛欲ノ水ヨリ增長ス。衆生ノ心中ニ愛欲ノ水增長スレハ。世間ニ此災起ルトアル。七月七日ノ疾疫災ハ散乱愚痴ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ散乱愚痴增長スレハ世間ニ此災禍生ストアル。後ノ刀兵災ハ瞋恚ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ瞋恚增長スレハ。世間ニ此災生スルト云コトシヤ。此三毒三災ノ中ニ。初ノ七年七月七日ノ雨。饑饉災。次ノ七月七日ノ疾疫ニ死スル人ヨリモ。後七日ノ瞋恚闘諍ニ繇テ死スル人ノ倍倍增長ナルヲ以テ。瞋恚ノ大害アルコトヲ知ヘキシヤ。其七日過テ。日月ノ光彩アラハレ。気候常ニ復ル。

書き下し

此七年七月七日ノ雨。饑饉灾ハ愛欲ノ水ヨリ增長ス。衆生ノ心中ニ愛欲ノ水增長スレハ。世間ニ此灾起ルトアル。七月七日ノ疾疫灾ハ散乱愚痴ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ散乱愚痴增長スレハ世間ニ此灾禍生ストアル。後ノ刀兵灾ハ瞋恚ヨリ起ル。衆生ノ心中ニ瞋恚增長スレハ。世間ニ此灾生スルト云コトシヤ。此三毒三灾ノ中ニ。初ノ七年七月七日ノ雨。饑饉灾。次ノ七月七日ノ疾疫ニ死スル人ヨリモ。後七日ノ瞋恚闘諍ニ繇テ死スル人ノ倍倍增長ナルヲ以テ。瞋恚ノ大害アルコトヲ知ヘキシヤ。其七日過テ。日月ノ光彩アラハレ。気候常ニ復ル。

現代語訳

この七年七か月七日の雨による飢饉災は、愛欲の水から増長する。衆生の心の中に愛欲の水が増長すれば、世間にこの災いが起こるとある。七か月七日の疾疫災は、散乱と愚癡から起こる。衆生の心の中に散乱と愚癡が増長すれば、世間にこの災禍が生じるとある。後の刀兵災は瞋恚から起こる。衆生の心の中に瞋恚が増長すれば、世間にこの災いが生じるということである。この三毒と三災の中で、初めの七年七か月七日の雨による飢饉災、次の七か月七日の疾疫で死ぬ人よりも、後の七日の瞋恚の闘争によって死ぬ人が倍々に増すことによって、瞋恚に大きな害があることを知るべきである。その七日が過ぎて、日月の光彩が現れ、気候が常に復する。

解説

三つの災いの原因を、衆生の心の三毒に結びつける。長雨の飢饉は愛欲の水から、疫病は散乱と愚癡から、刀兵災は瞋恚から起こる。外の世界の災いが心の状態の映しだという見方は、当時の仏教の因果観である。そして尊者は、期間の最も短い七日間の刀兵災が、七年余りの飢饉や七か月の疫病よりはるかに多くの命を奪うことを示し、瞋恚の害の大きさを強調する。一瞬の怒りが、長い苦難よりも深い傷を残しうるという指摘として受け止めたい。

この章句が説くこと

三毒三災瞋恚愛欲愚痴因果

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