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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

其後又此十善漸次ニ衰フ。次第ニ壽命減少ス。減少スルニ就テ心麁獷ニナリ。十惡次第ニ現起ス。極極ノ時ニ至テ復十歲トナル。如是八萬四千歲ヨリ減シテ十歲ニ至リ。十歲ヨリ復增シテ八萬四千歲ニ至リ。增シテハ減シ。減シテハ復增ス。如是二十增減スルヲ。一中刧ト云。此中刧ノ數滿シテ。最後增刧ノ後。壞刧時至テ。此須彌世界壞滅ス。此時一向ニ雨露等ノ潤ヒナク。七ツノ日竝ニ出ル。初ニ此日輪次第ニ光焰增長シ。諸ノ藥草等枯槁ス。次ニ第二ノ日輪出ルトキ大小ノ溝坑枯竭ス。第三ノ日輪ノ出ルトキ小河大河枯竭ス。第四ノ日輪ノ出ルトキ阿耨達池枯竭ス。第五ノ日輪。第六ノ日輪ノ一分ニ由テ。大海枯竭ス。第六ノ一分ト第七ノ日輪ニ由テ須彌山大地世界皆燒盡シテ。灰炭餘影ナク。虛空ニナルトアル。

新字:其後又此十善漸次ニ衰フ。次第ニ寿命減少ス。減少スルニ就テ心麁獷ニナリ。十悪次第ニ現起ス。極極ノ時ニ至テ復十歳トナル。如是八万四千歳ヨリ減シテ十歳ニ至リ。十歳ヨリ復增シテ八万四千歳ニ至リ。增シテハ減シ。減シテハ復增ス。如是二十增減スルヲ。一中刧ト云。此中刧ノ数満シテ。最後增刧ノ後。壊刧時至テ。此須弥世界壊滅ス。此時一向ニ雨露等ノ潤ヒナク。七ツノ日並ニ出ル。初ニ此日輪次第ニ光炎增長シ。諸ノ薬草等枯槁ス。次ニ第二ノ日輪出ルトキ大小ノ溝坑枯竭ス。第三ノ日輪ノ出ルトキ小河大河枯竭ス。第四ノ日輪ノ出ルトキ阿耨達池枯竭ス。第五ノ日輪。第六ノ日輪ノ一分ニ由テ。大海枯竭ス。第六ノ一分ト第七ノ日輪ニ由テ須弥山大地世界皆焼尽シテ。灰炭余影ナク。虚空ニナルトアル。

書き下し

其後又此十善漸次ニ衰フ。次第ニ寿命減少ス。減少スルニ就テ心麁獷ニナリ。十悪次第ニ現起ス。極極ノ時ニ至テ復十歳トナル。如是八万四千歳ヨリ減シテ十歳ニ至リ。十歳ヨリ復增シテ八万四千歳ニ至リ。增シテハ減シ。減シテハ復增ス。如是二十增減スルヲ。一中刧ト云。此中刧ノ数満シテ。最後增刧ノ後。壊刧時至テ。此須弥世界壊滅ス。此時一向ニ雨露等ノ潤ヒナク。七ツノ日並ニ出ル。初ニ此日輪次第ニ光炎增長シ。諸ノ薬草等枯槁ス。次ニ第二ノ日輪出ルトキ大小ノ溝坑枯竭ス。第三ノ日輪ノ出ルトキ小河大河枯竭ス。第四ノ日輪ノ出ルトキ阿耨達池枯竭ス。第五ノ日輪。第六ノ日輪ノ一分ニ由テ。大海枯竭ス。第六ノ一分ト第七ノ日輪ニ由テ須弥山大地世界皆焼尽シテ。灰炭余影ナク。虚空ニナルトアル。

現代語訳

その後、またこの十善が次第に衰える。次第に寿命が減少する。減少するにつれて心が粗く荒くなり、十悪が次第に現れ起こる。極まりの時に至って、また十歳となる。このように八万四千歳から減って十歳に至り、十歳からまた増して八万四千歳に至り、増しては減り、減ってはまた増す。このように二十回増減するのを一中劫と言う。この中劫の数が満ちて、最後の増劫の後、壊劫の時が至って、この須弥世界は壊滅する。このとき、ひたすら雨露などの潤いがなく、七つの太陽が並んで出る。初めにこの日輪が次第に光と炎を増して、諸々の薬草などが枯れる。次に第二の日輪が出るとき、大小の溝や穴が枯れ尽きる。第三の日輪が出るとき、小河や大河が枯れ尽きる。第四の日輪が出るとき、阿耨達池が枯れ尽きる。第五の日輪と第六の日輪の一部によって、大海が枯れ尽きる。第六の一部と第七の日輪によって、須弥山・大地・世界がみな焼き尽くされて、灰や炭の名残もなく、虚空になるとある。

解説

増劫もまた衰え、減っては増し増しては減る、この増減を二十回繰り返して一中劫となる。やがて壊劫の時が来ると、七つの太陽が順に昇り、草が枯れ、溝が干上がり、川が、阿耨達池が、大海が涸れ、ついに須弥山と大地が焼き尽くされて虚空に帰る。仏教の宇宙論に基づく壮大な壊滅の描写であり、尊者がそう説いたものとして受け取るべきである。どれほど善い世にも衰えが来るという循環の感覚は、成功が永続しないことを見据えて備える謙虚さに通じる。

この章句が説くこと

壊劫須弥山無常循環十善

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