十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒
世界ノ法トシテ。減刧ノ中ニモ人民善ヲ行スレハ。壽命モ福德モ其儘ニ住シテ。暫ク減セヌトアル。唯減却ノ法トシテ。善ニ住スル時節ハ少ク。惡ニ趨ル時節ハ多ク。佛法ノ中ニタニ。惡事ニ隨順スル者ハ多ク。諸善奉行スル者ハ少クナリユク。マシテ世間ニハ讒諂面諛ノ者ハ時ヲ得ル。道ヲ守リ志ヲ立ル人ハ衆人戲哢ス。人壽マタ減シテ五十歲トナル。這般ニナリ下テハ。十善ヲ說十善ヲ行スル者ハ。諸人悉ク謗リ憎テ。相共ニ往來セス。十惡ヲ行スル者ハ互ニ讃嘆隨喜ス。此極惡事增長スルトキ。子ノ壽命ハ父ヨリ減シ。孫ノ壽命ハ子ヨリ減シ。斯ノ如クナリテ四十歲ニ減シ。三十歲ニ促ル。
新字:世界ノ法トシテ。減刧ノ中ニモ人民善ヲ行スレハ。寿命モ福徳モ其儘ニ住シテ。暫ク減セヌトアル。唯減却ノ法トシテ。善ニ住スル時節ハ少ク。悪ニ趨ル時節ハ多ク。仏法ノ中ニタニ。悪事ニ随順スル者ハ多ク。諸善奉行スル者ハ少クナリユク。マシテ世間ニハ讒諂面諛ノ者ハ時ヲ得ル。道ヲ守リ志ヲ立ル人ハ衆人戯哢ス。人寿マタ減シテ五十歳トナル。這般ニナリ下テハ。十善ヲ説十善ヲ行スル者ハ。諸人悉ク謗リ憎テ。相共ニ往来セス。十悪ヲ行スル者ハ互ニ讃嘆随喜ス。此極悪事增長スルトキ。子ノ寿命ハ父ヨリ減シ。孫ノ寿命ハ子ヨリ減シ。斯ノ如クナリテ四十歳ニ減シ。三十歳ニ促ル。
書き下し
世界ノ法トシテ。減刧ノ中ニモ人民善ヲ行スレハ。寿命モ福徳モ其儘ニ住シテ。暫ク減セヌトアル。唯減却ノ法トシテ。善ニ住スル時節ハ少ク。悪ニ趨ル時節ハ多ク。仏法ノ中ニタニ。悪事ニ随順スル者ハ多ク。諸善奉行スル者ハ少クナリユク。マシテ世間ニハ讒諂面諛ノ者ハ時ヲ得ル。道ヲ守リ志ヲ立ル人ハ衆人戯哢ス。人寿マタ減シテ五十歳トナル。這般ニナリ下テハ。十善ヲ説十善ヲ行スル者ハ。諸人悉ク謗リ憎テ。相共ニ往来セス。十悪ヲ行スル者ハ互ニ讃嘆随喜ス。此極悪事增長スルトキ。子ノ寿命ハ父ヨリ減シ。孫ノ寿命ハ子ヨリ減シ。斯ノ如クナリテ四十歳ニ減シ。三十歳ニ促ル。
現代語訳
世界の法として、減劫の中でも人民が善を行えば、寿命も福徳もそのままに住して、しばらく減らないとある。ただ減劫の法として、善に住する時節は少なく、悪に走る時節は多く、仏法の中でさえ悪事に従う者は多く、諸善を奉行する者は少なくなっていく。まして世間では、讒言やへつらい、面と向かっての追従をする者が時を得る。道を守り志を立てる人は、多くの人が戯れ嘲る。人の寿命はまた減って五十歳となる。このようになり下がっては、十善を説き十善を行う者は、諸人がことごとく謗り憎んで、一緒に往来しない。十悪を行う者は、互いに讃嘆し随喜する。この極悪の事が増長するとき、子の寿命は父より減り、孫の寿命は子より減り、このようになって四十歳に減り、三十歳に縮まる。
解説
この章句が説くこと
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