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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

此身中膿血淚唾痰陰膏汗髓小水精汁ナトト云モノハ。皆水大ニ屬ス。外ヨリ水ヲモチ來テ口ニ入養ハサレハ。此類ハ涸ルシヤ。又此身ノ津液ヲ以テ外物ヲ潤セハ。小分其潤ヲ助ク。且ク皮肉ノ內ニアルト。外ニアルトノ異ノミニテ。水ニ相違ナキシヤ。通途ノ者ハ此ヲ自身ト思ヒ。日夜保着シ。自他隔歷スレトモ。元來コノ水滴。自身ト認ムヘキモノニ非ス。一切ノ河海井池。雨露ヲ以テ自身トスト說ハ。廣大ナル事ノヤウニ聞ヘケレトモ。本來此膿血ヲ自身トスルヨリ見ヨ。平生二六時中私タニ交ヘネハ。此法界身ニ相違セヌシヤ。

新字:此身中膿血涙唾痰陰膏汗髄小水精汁ナトト云モノハ。皆水大ニ属ス。外ヨリ水ヲモチ来テ口ニ入養ハサレハ。此類ハ涸ルシヤ。又此身ノ津液ヲ以テ外物ヲ潤セハ。小分其潤ヲ助ク。且ク皮肉ノ内ニアルト。外ニアルトノ異ノミニテ。水ニ相違ナキシヤ。通途ノ者ハ此ヲ自身ト思ヒ。日夜保着シ。自他隔歴スレトモ。元来コノ水滴。自身ト認ムヘキモノニ非ス。一切ノ河海井池。雨露ヲ以テ自身トスト説ハ。広大ナル事ノヤウニ聞ヘケレトモ。本来此膿血ヲ自身トスルヨリ見ヨ。平生二六時中私タニ交ヘネハ。此法界身ニ相違セヌシヤ。

書き下し

此身中膿血涙唾痰陰膏汗髄小水精汁ナトト云モノハ。皆水大ニ属ス。外ヨリ水ヲモチ来テ口ニ入養ハサレハ。此類ハ涸ルシヤ。又此身ノ津液ヲ以テ外物ヲ潤セハ。小分其潤ヲ助ク。且ク皮肉ノ内ニアルト。外ニアルトノ異ノミニテ。水ニ相違ナキシヤ。通途ノ者ハ此ヲ自身ト思ヒ。日夜保着シ。自他隔歴スレトモ。元来コノ水滴。自身ト認ムヘキモノニ非ス。一切ノ河海井池。雨露ヲ以テ自身トスト説ハ。広大ナル事ノヤウニ聞ヘケレトモ。本来此膿血ヲ自身トスルヨリ見ヨ。平生二六時中私タニ交ヘネハ。此法界身ニ相違セヌシヤ。

現代語訳

この身の中の膿・血・涙・唾・痰・陰液・脂・汗・髄・小便・精液などというものは、みな水大に属する。外から水を持って来て口に入れて養わなければ、この類は涸れるのである。またこの身の津液で外の物を潤せば、少しはその潤いを助ける。ただ皮と肉の内にあるか、外にあるかの違いだけで、水に違いはないのである。普通の者はこれを自分の身と思い、日夜保ち執着し、自他を隔てるけれども、元来この水滴は、自分の身と認めるべきものではない。一切の河・海・井戸・池、雨露をもって自分の身とする、と説くのは、広大なことのように聞こえるけれども、本来この膿や血を自分の身とすることから見よ。平生、一日中、私心さえ交えなければ、この法界の身に違わないのである。

解説

体の中の血や涙や汗などの水分は水大に属し、外から水を飲まなければ涸れ、体の水で外の物を潤すこともできる。皮膚の内にあるか外にあるかの違いだけで、水は水だと尊者は言う。人はそれを自分のものと思って自他を隔てるが、そう見れば、河や海や雨露を自分の身とする教えも大げさではない。私心を交えなければ、この身はそのまま法界の身になる。水を飲み、汗をかくという当たり前の営みの中に、世界と自分のつながりを見出させる一節である。

この章句が説くこと

水大身体自他法界四大

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