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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

元來四大ハ相融セルモノデ。地ノ中ニ水モアリ。火モアリ。風モアリ。水ノ中ニ火モアリ。風モアリ。火ノ中ニ水モアリ。地モ風モアリ。風ノ中ニ地水火モアルモノシヤ。多分ニ約シ各自ニ名ヲ立テテ地大水大火大風大トスルシヤ。此四大各各堅濕煖動ヲ具足スル中ニ。堅相アル處ニハ。堅相カ多分ヨリカタマリテ大地トナリ。濕相アル處ニハ濕相カ多分相歸シテ大水トナリ。煖相ノ多分アル處ニハ。煖相カヨリ合テ大火トナリ。動相ノ多分アル處ニハ。動相カ相應シテ大風トナル。面白キ物シヤ。此因緣アリテ和合スル。此因緣アリテ壞滅スル。世相面白キコトシヤ。天竺ノ諸論師カ滅因ノ立破ヲ論スルモ。面白キコトシヤ。

新字:元来四大ハ相融セルモノデ。地ノ中ニ水モアリ。火モアリ。風モアリ。水ノ中ニ火モアリ。風モアリ。火ノ中ニ水モアリ。地モ風モアリ。風ノ中ニ地水火モアルモノシヤ。多分ニ約シ各自ニ名ヲ立テテ地大水大火大風大トスルシヤ。此四大各各堅湿煖動ヲ具足スル中ニ。堅相アル処ニハ。堅相カ多分ヨリカタマリテ大地トナリ。湿相アル処ニハ湿相カ多分相帰シテ大水トナリ。煖相ノ多分アル処ニハ。煖相カヨリ合テ大火トナリ。動相ノ多分アル処ニハ。動相カ相応シテ大風トナル。面白キ物シヤ。此因縁アリテ和合スル。此因縁アリテ壊滅スル。世相面白キコトシヤ。天竺ノ諸論師カ滅因ノ立破ヲ論スルモ。面白キコトシヤ。

書き下し

元来四大ハ相融セルモノデ。地ノ中ニ水モアリ。火モアリ。風モアリ。水ノ中ニ火モアリ。風モアリ。火ノ中ニ水モアリ。地モ風モアリ。風ノ中ニ地水火モアルモノシヤ。多分ニ約シ各自ニ名ヲ立テテ地大水大火大風大トスルシヤ。此四大各各堅湿煖動ヲ具足スル中ニ。堅相アル処ニハ。堅相カ多分ヨリカタマリテ大地トナリ。湿相アル処ニハ湿相カ多分相帰シテ大水トナリ。煖相ノ多分アル処ニハ。煖相カヨリ合テ大火トナリ。動相ノ多分アル処ニハ。動相カ相応シテ大風トナル。面白キ物シヤ。此因縁アリテ和合スル。此因縁アリテ壊滅スル。世相面白キコトシヤ。天竺ノ諸論師カ滅因ノ立破ヲ論スルモ。面白キコトシヤ。

現代語訳

元来、四大は互いに融け合ったもので、地の中に水もあり、火もあり、風もある。水の中に火もあり、風もある。火の中に水もあり、地も風もある。風の中に地・水・火もあるものである。多い方に約して、おのおのに名を立てて、地大・水大・火大・風大とするのである。この四大がおのおの堅湿煖動を具足している中で、堅の相のある所には、堅の相が多く寄り固まって大地となり、湿の相のある所には、湿の相が多く帰して大水となり、煖の相の多くある所には、煖の相が寄り合って大火となり、動の相の多くある所には、動の相が応じ合って大風となる。面白いものである。この因縁があって和合する。この因縁があって壊滅する。世の相は面白いことである。天竺の諸々の論師が、滅の因について立てたり破ったりして論じるのも、面白いことである。

解説

四大は互いに融け合っていて、地の中にも水火風があり、水の中にも火や風がある、と尊者は言う。それぞれの性質が多く寄り集まった所に、大地や大水、大火や大風が生まれる。因縁によって集まり、因縁によって壊れる世の姿を、尊者は面白いと味わう。インドの論師たちが、物が滅びる原因を論じ合ったことにも触れている。純粋な一つの要素でできたものはなく、すべては混じり合い、寄り集まる偏りで形が決まるという見方は、人の性格や組織の気風を考える手がかりにもなる。

この章句が説くこと

四大相融因縁和合壊滅世相

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