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十善法語 / 巻第九・不瞋恚戒

煖相ノ多分積集セルヲ火大ト云。日ノ光ヨリシテ金石草木ヨリ出ル火。一切煖マリアルモノ。光明アルモノ。皆此火大ニ屬ス。火ニ濕モ堅モ動モアルモノナレトモ。多分ニ就テ火ヲ煖性トス。火ノ濕ハ知リ難ケレトモ。灸治シテ身體ニ潤澤ヲ生スル類。物ヲ炒テ濕ヲ生スル類ニテ知ヘキシヤ。動相ノ多分積聚セルヲ風大ト云。一切有情ノ息風。及ヒ一切有情非情ノ生長スル。皆此風大ニ屬ス。此風ニ煖モアリ。濕モアリ。堅モアレトモ。多分ニ就テ風ヲ動性トス。風ノ堅相モ知リ難ケレトモ。ツチ風旋風等ニテ風ノ形アルコトヲ知ベキシヤ。

新字:煖相ノ多分積集セルヲ火大ト云。日ノ光ヨリシテ金石草木ヨリ出ル火。一切煖マリアルモノ。光明アルモノ。皆此火大ニ属ス。火ニ湿モ堅モ動モアルモノナレトモ。多分ニ就テ火ヲ煖性トス。火ノ湿ハ知リ難ケレトモ。灸治シテ身体ニ潤沢ヲ生スル類。物ヲ炒テ湿ヲ生スル類ニテ知ヘキシヤ。動相ノ多分積聚セルヲ風大ト云。一切有情ノ息風。及ヒ一切有情非情ノ生長スル。皆此風大ニ属ス。此風ニ煖モアリ。湿モアリ。堅モアレトモ。多分ニ就テ風ヲ動性トス。風ノ堅相モ知リ難ケレトモ。ツチ風旋風等ニテ風ノ形アルコトヲ知ベキシヤ。

書き下し

煖相ノ多分積集セルヲ火大ト云。日ノ光ヨリシテ金石草木ヨリ出ル火。一切煖マリアルモノ。光明アルモノ。皆此火大ニ属ス。火ニ湿モ堅モ動モアルモノナレトモ。多分ニ就テ火ヲ煖性トス。火ノ湿ハ知リ難ケレトモ。灸治シテ身体ニ潤沢ヲ生スル類。物ヲ炒テ湿ヲ生スル類ニテ知ヘキシヤ。動相ノ多分積聚セルヲ風大ト云。一切有情ノ息風。及ヒ一切有情非情ノ生長スル。皆此風大ニ属ス。此風ニ煖モアリ。湿モアリ。堅モアレトモ。多分ニ就テ風ヲ動性トス。風ノ堅相モ知リ難ケレトモ。ツチ風旋風等ニテ風ノ形アルコトヲ知ベキシヤ。

現代語訳

煖の相が多く積み集まったものを火大と言う。日の光をはじめとして、金石や草木から出る火、一切の温かさのあるもの、光明のあるものは、みなこの火大に属する。火にも湿りも堅さも動きもあるものだけれども、多い方について火を煖の性とする。火の湿りは知りがたいけれども、灸治をして身体に潤いを生じる類、物を炒って湿りを生じる類で知るべきである。動の相が多く積み集まったものを風大と言う。一切の有情の息の風、および一切の有情・非情が生長するのは、みなこの風大に属する。この風にも温かさがあり、湿りがあり、堅さもあるけれども、多い方について風を動の性とする。風の堅相も知りがたいけれども、つむじ風や旋風などで、風に形があることを知るべきである。

解説

火大と風大の説明である。日の光、石や木から出る火、温かいもの光るものは火大に属し、生き物の息や、ものが育つ働きは風大に属する。火にも湿りがあることは、灸で体が潤い、物を炒ると水気が出ることで分かり、風にも形があることは、つむじ風で分かると尊者は言う。見えにくい性質を、日常の経験から丁寧に拾い上げる説明の仕方に、聴衆に寄り添う講話の姿がうかがえる。目に見えにくい働きを、具体的な現象から確かめる姿勢として読める。

この章句が説くこと

四大火大風大

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