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十善法語 / 巻第八・不貪欲戒

華嚴ニ。衆生妄ニ分別スレハ。佛アリ世界アリ。若眞法性ヲ了スレハ。佛モナク世界モナシトアル。此法性カ直ニ是緣起シヤ。佛果究竟モ一物鎭長靈デナイ。頑空無體テハナイ。此緣起カ直ニ是法性シヤ。凡夫身心從來ノ面目ヲ改ルコトデハナイ。此緣起不思議ノ中。業相ノ影ヲ現ス。流ヲ逐テ止ルコトヲ知ラネハ。此業相衆生ヲ昇沈シテ。累却窮リナキシヤ。若本源ニ達スレハ到處カ解脫大海シヤ。末ノ末マテ解脫大海シヤ。

新字:華厳ニ。衆生妄ニ分別スレハ。仏アリ世界アリ。若真法性ヲ了スレハ。仏モナク世界モナシトアル。此法性カ直ニ是縁起シヤ。仏果究竟モ一物鎮長霊デナイ。頑空無体テハナイ。此縁起カ直ニ是法性シヤ。凡夫身心従来ノ面目ヲ改ルコトデハナイ。此縁起不思議ノ中。業相ノ影ヲ現ス。流ヲ逐テ止ルコトヲ知ラネハ。此業相衆生ヲ昇沈シテ。累却窮リナキシヤ。若本源ニ達スレハ到処カ解脱大海シヤ。末ノ末マテ解脱大海シヤ。

書き下し

華厳ニ。衆生妄ニ分別スレハ。仏アリ世界アリ。若真法性ヲ了スレハ。仏モナク世界モナシトアル。此法性カ直ニ是縁起シヤ。仏果究竟モ一物鎮長霊デナイ。頑空無体テハナイ。此縁起カ直ニ是法性シヤ。凡夫身心従来ノ面目ヲ改ルコトデハナイ。此縁起不思議ノ中。業相ノ影ヲ現ス。流ヲ逐テ止ルコトヲ知ラネハ。此業相衆生ヲ昇沈シテ。累却窮リナキシヤ。若本源ニ達スレハ到処カ解脱大海シヤ。末ノ末マテ解脱大海シヤ。

現代語訳

華厳経に、「衆生がみだりに分別すれば、仏があり世界がある。もし真の法性を了解すれば、仏もなく世界もない」とある。この法性がそのまま縁起である。仏果の究竟も、一つの物がとこしえに霊妙に留まっているのではない。何もない頑なな空無でもない。この縁起がそのまま法性である。凡夫の身心の従来の面目を改めることではない。この縁起の不思議の中に、業相の影を現す。流れを追って止まることを知らなければ、この業相が衆生を浮き沈みさせて、重なる劫にわたって窮まりがないのである。もし本源に達すれば、至る所が解脱の大海である。末の末まで解脱の大海である。

解説

法性と縁起が一つであることを説く。華厳経に、衆生が分別すれば仏も世界もあるが、真の法性を悟れば仏も世界もない、とある。尊者はここで、悟りの境地は何か一つの霊妙な物が永遠に在ることでも、何もない虚無でもないと念を押す。縁起そのものが法性であり、凡夫の身心をどこか別のものに作り替える必要はない。業の流れを追い続ければ浮き沈みは果てしないが、源に立ち返れば、どこもが解脱の海である。今いる場所を離れずに見方を変えるという方向は、日常を生き直す手がかりになる。

この章句が説くこと

法性縁起解脱華厳経業相本源

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