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十善法語 / 巻第三・不邪婬戒

正法ノ中ニハ。世界ノ空中ニ浮フコト。片雲ノ虛空ニ點スル如クトアル。此虛空モ頑空無記テナイ。能同類世界異類世界ヲ生シテ止時ナキシヤ。ナセソ。此虛空直ニ是緣起ノ法シヤ。此ニ由テ虛空ノアル處ハ世界海充滿シテ。缺減ナキト云コトシヤ。緣來レハ爰ニ起ル。緣去レハ爰ニ滅スル。得道ノ者ノ眼ニハ。泡ノ水上ニ起滅スルヲ見ル如クトアルシヤ。此世界モ頑土塊ナラス。能有情非情ヲ生シテ止時ナキシヤ。此世界ノアル處ハ必ス衆生充滿シテ。空處ナキト云コトシヤ。緣去レハ爰ニ死シ。緣來レハ彼許ヘ生スル。得道ノ者ノ眼ニハ環ノ端ナキカ如トアル。

新字:正法ノ中ニハ。世界ノ空中ニ浮フコト。片雲ノ虚空ニ点スル如クトアル。此虚空モ頑空無記テナイ。能同類世界異類世界ヲ生シテ止時ナキシヤ。ナセソ。此虚空直ニ是縁起ノ法シヤ。此ニ由テ虚空ノアル処ハ世界海充満シテ。欠減ナキト云コトシヤ。縁来レハ爰ニ起ル。縁去レハ爰ニ滅スル。得道ノ者ノ眼ニハ。泡ノ水上ニ起滅スルヲ見ル如クトアルシヤ。此世界モ頑土塊ナラス。能有情非情ヲ生シテ止時ナキシヤ。此世界ノアル処ハ必ス衆生充満シテ。空処ナキト云コトシヤ。縁去レハ爰ニ死シ。縁来レハ彼許ヘ生スル。得道ノ者ノ眼ニハ環ノ端ナキカ如トアル。

書き下し

正法ノ中ニハ。世界ノ空中ニ浮フコト。片雲ノ虚空ニ点スル如クトアル。此虚空モ頑空無記テナイ。能同類世界異類世界ヲ生シテ止時ナキシヤ。ナセソ。此虚空直ニ是縁起ノ法シヤ。此ニ由テ虚空ノアル処ハ世界海充満シテ。欠減ナキト云コトシヤ。縁来レハ爰ニ起ル。縁去レハ爰ニ滅スル。得道ノ者ノ眼ニハ。泡ノ水上ニ起滅スルヲ見ル如クトアルシヤ。此世界モ頑土塊ナラス。能有情非情ヲ生シテ止時ナキシヤ。此世界ノアル処ハ必ス衆生充満シテ。空処ナキト云コトシヤ。縁去レハ爰ニ死シ。縁来レハ彼許ヘ生スル。得道ノ者ノ眼ニハ環ノ端ナキカ如トアル。

現代語訳

正法の中では、世界が空中に浮かぶことは、ちぎれ雲が虚空に点じているようなものだ、とある。この虚空も、ただ空っぽで何も生まないものではない。よく同じ類の世界、異なる類の世界を生じて、止む時がないのである。なぜか。この虚空はそのまま縁起の法だからである。これによって、虚空のあるところには世界海が満ちていて欠けるところがない、ということである。縁が来ればここに起こり、縁が去ればここに滅する。道を得た者の眼には、泡が水の上に起こり滅するのを見るようだ、とあるのである。この世界もただの土くれではない。よく有情(心あるもの)と非情(心なきもの)を生じて、止む時がないのである。この世界のあるところには必ず衆生が満ちていて、空いた所がない、ということである。縁が去ればここで死に、縁が来ればあちらに生まれる。道を得た者の眼には、輪に端がないようだ、とある。

解説

世界と衆生の成り立ちを、仏教の宇宙観から語り起こす段である。尊者は、虚空はただの空白ではなく縁起そのものであり、縁が来れば世界が起こり、縁が去れば滅すると説く。同じように世界もただの土の塊ではなく、生き物を生み続け、衆生は縁に従って死んではまた生まれ、輪のように端がないという。これは慈雲が仏典に基づいて示した見方である。すべては条件がそろって現れ、条件が去れば消えるという縁起の視点は、今の成功や失敗を固定したものと見ずに受け止める助けになる。

この章句が説くこと

縁起虚空輪廻世界海衆生

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