十善法語 / 巻第七・不兩舌戒
經ニ云。佛言人於世間不犯他人婦女。心不念邪僻。從是得五善。何等五。一者不亡費。二者不畏縣官。三者不畏人。四者得上天。天上玉女作婦。五者從天上來下生世間。多端正婦。今尊者見有若干婦端正好色。皆故世宿命不犯他人婦女所致也。見在分明。愼莫犯他人婦女トアル。若邪婬ノ者ハ此ニ反シテ。一ニハ家室和セス。夫婦シハシハ闘ヒ。シハシハ錢財ヲ費ス。二ニ王法ノ疾ム所。縣官ノ罸スル所。身罪ニ當リ。死亡ヲ招ク。三ニ自カラ身ヲ欺キ。常ニ人ヲ畏ル。四ニ惡趣ニ入ル。五ニ惡趣ヨリ出テ。タマタマ人中ニ生シテモ。自ラ婬蕩不羈。隨意ノ眷屬ヲ得ズ。タマタマ有モ柔順ナラス。婦容色ナク。惡性嫉妬ス。設シ女人トナレハ獨一主人ナラス。多人共シテ婦トシ。常ニ捶杖ニ遇フトアル。此業果面白キシヤ。天地ミナ分界アリ。萬物各各主アル。守レハ此處ニ福智生スル。侵セハ此處ニ罪累起ル。此等ノ事。眞正ノ道人ノ世間ニ在テ常ニ咲ヲ含ム處シヤ。
新字:経ニ云。仏言人於世間不犯他人婦女。心不念邪僻。従是得五善。何等五。一者不亡費。二者不畏県官。三者不畏人。四者得上天。天上玉女作婦。五者従天上来下生世間。多端正婦。今尊者見有若干婦端正好色。皆故世宿命不犯他人婦女所致也。見在分明。慎莫犯他人婦女トアル。若邪婬ノ者ハ此ニ反シテ。一ニハ家室和セス。夫婦シハシハ闘ヒ。シハシハ銭財ヲ費ス。二ニ王法ノ疾ム所。県官ノ罰スル所。身罪ニ当リ。死亡ヲ招ク。三ニ自カラ身ヲ欺キ。常ニ人ヲ畏ル。四ニ悪趣ニ入ル。五ニ悪趣ヨリ出テ。タマタマ人中ニ生シテモ。自ラ婬蕩不羈。随意ノ眷属ヲ得ズ。タマタマ有モ柔順ナラス。婦容色ナク。悪性嫉妬ス。設シ女人トナレハ独一主人ナラス。多人共シテ婦トシ。常ニ捶杖ニ遇フトアル。此業果面白キシヤ。天地ミナ分界アリ。万物各各主アル。守レハ此処ニ福智生スル。侵セハ此処ニ罪累起ル。此等ノ事。真正ノ道人ノ世間ニ在テ常ニ咲ヲ含ム処シヤ。
書き下し
経ニ云。仏言人於世間不犯他人婦女。心不念邪僻。従是得五善。何等五。一者不亡費。二者不畏県官。三者不畏人。四者得上天。天上玉女作婦。五者従天上来下生世間。多端正婦。今尊者見有若干婦端正好色。皆故世宿命不犯他人婦女所致也。見在分明。慎莫犯他人婦女トアル。若邪婬ノ者ハ此ニ反シテ。一ニハ家室和セス。夫婦シハシハ闘ヒ。シハシハ銭財ヲ費ス。二ニ王法ノ疾ム所。県官ノ罰スル所。身罪ニ当リ。死亡ヲ招ク。三ニ自カラ身ヲ欺キ。常ニ人ヲ畏ル。四ニ悪趣ニ入ル。五ニ悪趣ヨリ出テ。タマタマ人中ニ生シテモ。自ラ婬蕩不羈。随意ノ眷属ヲ得ズ。タマタマ有モ柔順ナラス。婦容色ナク。悪性嫉妬ス。設シ女人トナレハ独一主人ナラス。多人共シテ婦トシ。常ニ捶杖ニ遇フトアル。此業果面白キシヤ。天地ミナ分界アリ。万物各各主アル。守レハ此処ニ福智生スル。侵セハ此処ニ罪累起ル。此等ノ事。真正ノ道人ノ世間ニ在テ常ニ咲ヲ含ム処シヤ。
現代語訳
経に言う。仏は言われた。人が世間で他人の婦女を犯さず、心によこしまなことを思わなければ、これによって五つの善を得る。何を五つとするか。一つには浪費しない。二つには役人を恐れない。三つには人を恐れない。四つには天上に生まれ、天上の玉女が妻となる。五つには天上から下って世間に生まれれば、端正な妻が多い。今、尊い人に若干の妻がいて端正で美しいのを見るのは、みな前世の宿命で他人の婦女を犯さなかったことによるのである。現に明らかである。謹んで他人の婦女を犯してはならない、とある。もし邪婬の者はこれに反して、一つには家が和やかでなく、夫婦がしばしば争い、しばしば金銭を費やす。二つには王法の憎むところ、役人の罰するところで、身は罪に当たり、死を招く。三つにはみずから身を欺き、常に人を恐れる。四つには悪趣に入る。五つには悪趣から出てたまたま人の中に生まれても、みずから淫らで放縦であり、思いどおりの眷属を得ない。たまたまあっても柔順でなく、妻は容色がなく、性質が悪く嫉妬する。もし女人となれば一人の主人のものとならず、多くの人に共に妻とされ、常に杖で打たれる、とある。この業の果は面白いものである。天地にはみな境界があり、万物にはそれぞれ主がある。守ればそこに福と智が生じる。侵せばそこに罪の重なりが起こる。これらの事は、まことの道人が世間にあって常に笑みを含むところである。
解説
この章句が説くこと
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