十善法語 / 巻第七・不兩舌戒
又修行道地經ノ中ニ。禪法ヲ教授スル者他心道眼アレバ。自ラ禪定ニ入リ。其根緣ヲ觀シテ隨宜ノ法ヲ授クヘシ。若他心道眼ナキ者ハ。其相貌威儀ヲ察シテ。塵勞ヲ分別シ法ヲ授ヘシト。文ニ何而知人有貪婬相。文飾自喜。調戲性急。志躁忽忽性如獼猴。而多忘誤。智計淺薄無有遠慮。舉動所爲不顧前後。造作不要。多事恐怖。多言喜啼。易詐易伏。安穩易解。不耐勤苦。若得小利入大用歡喜。忘失少少而甚憂感。聞人稱譽歡喜信之。伏匿之事悉爲道說。體溫多汗。皮薄身臭。毛髪希疎。多白多皺。不好長鬚。白齒趨行。喜淨潔衣莊嚴其身。多學伎術數行遊觀。常喜含笑。性和敬長。性不狠戾。少於嗔恚。尊敬長老。雖學于法愛欲財物。結友不久聞色欲事卽貪着之。說其惡露尋復厭之。易進易退。是爲貪婬相ト。此者多ハ有見ニ着スト云コトシヤ。
新字:又修行道地経ノ中ニ。禅法ヲ教授スル者他心道眼アレバ。自ラ禅定ニ入リ。其根縁ヲ観シテ随宜ノ法ヲ授クヘシ。若他心道眼ナキ者ハ。其相貌威儀ヲ察シテ。塵労ヲ分別シ法ヲ授ヘシト。文ニ何而知人有貪婬相。文飾自喜。調戯性急。志躁忽忽性如獼猴。而多忘誤。智計浅薄無有遠慮。舉動所為不顧前後。造作不要。多事恐怖。多言喜啼。易詐易伏。安穏易解。不耐勤苦。若得小利入大用歓喜。忘失少少而甚憂感。聞人称誉歓喜信之。伏匿之事悉為道説。体温多汗。皮薄身臭。毛髪希疎。多白多皺。不好長鬚。白歯趨行。喜浄潔衣荘厳其身。多学伎術数行遊観。常喜含笑。性和敬長。性不狠戻。少於嗔恚。尊敬長老。雖学于法愛欲財物。結友不久聞色欲事即貪着之。説其悪露尋復厭之。易進易退。是為貪婬相ト。此者多ハ有見ニ着スト云コトシヤ。
書き下し
又修行道地経ノ中ニ。禅法ヲ教授スル者他心道眼アレバ。自ラ禅定ニ入リ。其根縁ヲ観シテ随宜ノ法ヲ授クヘシ。若他心道眼ナキ者ハ。其相貌威儀ヲ察シテ。塵労ヲ分別シ法ヲ授ヘシト。文ニ何而知人有貪婬相。文飾自喜。調戯性急。志躁忽忽性如獼猴。而多忘誤。智計浅薄無有遠慮。舉動所為不顧前後。造作不要。多事恐怖。多言喜啼。易詐易伏。安穏易解。不耐勤苦。若得小利入大用歓喜。忘失少少而甚憂感。聞人称誉歓喜信之。伏匿之事悉為道説。体温多汗。皮薄身臭。毛髪希疎。多白多皺。不好長鬚。白歯趨行。喜浄潔衣荘厳其身。多学伎術数行遊観。常喜含笑。性和敬長。性不狠戻。少於嗔恚。尊敬長老。雖学于法愛欲財物。結友不久聞色欲事即貪着之。説其悪露尋復厭之。易進易退。是為貪婬相ト。此者多ハ有見ニ着スト云コトシヤ。
現代語訳
また修行道地経の中に次のようにある。禅法を教え授ける者に、他人の心を知る道眼があれば、みずから禅定に入り、その人の根と縁を観て、宜しきに従った法を授けるべきである。もし他人の心を知る道眼のない者は、その人の容貌や立ち居振る舞いを察して、煩悩を見分けて法を授けるべきである、と。その文に次のようにある。何によって人に貪婬の相があると知るか。飾ることを好んで自分で喜び、ふざけて性急である。志が騒がしく落ち着かず、性質は猿のようである。そして物忘れや誤りが多い。知恵や計りごとが浅く、遠い慮りがない。振る舞いやすることに前後を顧みない。いらないことをする。事が多く恐れやすい。口数が多く泣くことを好む。欺かれやすく屈しやすい。穏やかで分かりやすい。勤め苦しむことに耐えない。わずかな利を得れば大いに喜ぶ。少しでも失えばひどく憂え悲しむ。人に褒められれば喜んでそれを信じる。隠しておくべき事をことごとく話してしまう。体温が高く汗が多い。皮膚が薄く体臭がある。髪や体毛がまばらである。白髪やしわが多い。長い鬚を好まない。歯が白く、小走りに歩く。清潔な衣を好んでその身を飾る。多くの技芸を学び、しばしば遊覧に出る。常に笑みを含むことを好む。性質は和やかで年長者を敬う。性質はひねくれていない。怒りが少ない。長老を尊敬する。法を学んでも財物を愛し欲する。友との交わりが長続きしない。色欲の事を聞けばすぐに貪り執着する。その汚れを説けばすぐにまたそれを厭う。進みやすく退きやすい。これが貪婬の相である、と。この者は多く有の見に執着するということだ。
解説

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