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十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

此六和敬具足スレハ。聖法久住ト名ツクル。戒序ニ。賢聖衆牢固。然後破魔軍トアル。此六和堅牢ノ衆力。能魔網ヲ破シ。煩惱ヲ摧テ。世ノ福田トナルシヤ。又聖衆若和合スレハ。世尊所稱譽。以衆和合故佛法得久久トアル。此和合僧寶。世ノ福田トナリテ世間ノ中ニ聖法久住スルシヤ。若此衆力和合セザレハ法滅ノ相シヤ。事緣ヲ擧ハ。律中ニ昔拘胶彌國ニ教論法師ト善釋律師ト互ニ爭ヲ起シテ。十二年ノ間布薩ヲ行ゼザリシ。此因緣正法ガ早ク滅スル相トアルコトシヤ。傳戒ノ人ハ殊ニ意ヲ用フヘキシヤ。僧網密ナレハ上中下ノ者コトコトク漏サヌ。法網頽壞スレハ人人邪途ニ走ルシヤ。

新字:此六和敬具足スレハ。聖法久住ト名ツクル。戒序ニ。賢聖衆牢固。然後破魔軍トアル。此六和堅牢ノ衆力。能魔網ヲ破シ。煩悩ヲ摧テ。世ノ福田トナルシヤ。又聖衆若和合スレハ。世尊所称誉。以衆和合故仏法得久久トアル。此和合僧宝。世ノ福田トナリテ世間ノ中ニ聖法久住スルシヤ。若此衆力和合セザレハ法滅ノ相シヤ。事縁ヲ挙ハ。律中ニ昔拘胶弥国ニ教論法師ト善釈律師ト互ニ争ヲ起シテ。十二年ノ間布薩ヲ行ゼザリシ。此因縁正法ガ早ク滅スル相トアルコトシヤ。伝戒ノ人ハ殊ニ意ヲ用フヘキシヤ。僧網密ナレハ上中下ノ者コトコトク漏サヌ。法網頽壊スレハ人人邪途ニ走ルシヤ。

書き下し

此六和敬具足スレハ。聖法久住ト名ツクル。戒序ニ。賢聖衆牢固。然後破魔軍トアル。此六和堅牢ノ衆力。能魔網ヲ破シ。煩悩ヲ摧テ。世ノ福田トナルシヤ。又聖衆若和合スレハ。世尊所称誉。以衆和合故仏法得久久トアル。此和合僧宝。世ノ福田トナリテ世間ノ中ニ聖法久住スルシヤ。若此衆力和合セザレハ法滅ノ相シヤ。事縁ヲ挙ハ。律中ニ昔拘胶弥国ニ教論法師ト善釈律師ト互ニ争ヲ起シテ。十二年ノ間布薩ヲ行ゼザリシ。此因縁正法ガ早ク滅スル相トアルコトシヤ。伝戒ノ人ハ殊ニ意ヲ用フヘキシヤ。僧網密ナレハ上中下ノ者コトコトク漏サヌ。法網頽壊スレハ人人邪途ニ走ルシヤ。

現代語訳

この六和敬が具わり足りれば、聖なる法が久しくとどまると名づける。戒序に、賢聖の衆が堅固であって、その後に魔の軍を破る、とある。この六和の堅牢な衆の力が、よく魔の網を破り、煩悩をくじいて、世の福田となるのである。また、聖なる衆がもし和合すれば、世尊が称え誉めるところである。衆が和合することによって、仏法は久しく住することができる、とある。この和合した僧宝が世の福田となって、世間の中に聖なる法が久しくとどまるのである。もしこの衆の力が和合しなければ、法が滅びる相である。事例を挙げれば、律の中に、昔、拘睒弥国で教論法師と善釈律師とが互いに争いを起こして、十二年のあいだ布薩を行わなかった。この因縁は、正法が早く滅びる相である、とあるのである。戒を伝える人は特に心を用いるべきである。僧の網が密であれば、上中下の者をことごとく漏らさない。法の網が崩れれば、人々は邪な道に走るのである。

解説

六和敬が具われば仏法は長く続き、崩れれば滅びる。戒経の偈は、和合した僧団こそが魔の軍を破り、仏法を久しく住させると説く。反対の例が、コーサンビー(拘睒弥)で経を説く法師と律を守る律師が対立し、十二年も布薩ができなかった話である。些細な行き違いから教団が二つに割れた出来事として律に伝わり、仏自身も仲裁に苦心したとされる。専門の違う者どうしの対立が組織の根幹の営みまで止めてしまう構図は、今日でも決して珍しくない。

この章句が説くこと

六和敬和合法滅布薩拘睒弥僧伽

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