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十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

僧寶ノ中ニハ父子ノ和合ナク。君臣ノ和合ナク。朋友ノ和合ナク。夫婦ノ和合ナク。兄弟ノ和合ナク。世間ニ異ナル道シヤ。人倫ヲ超過シタ姿シヤ。此中ニハ友愛親好ハ何ノ處ニ在ソ。此人倫ヲ超過セル中ニ。六和敬ヲ以テ僧體トスルシヤ。六和敬ハ戒見利身口意ノ和敬シヤ。和ハ和合ノ義。敬ハ恭敬シヤ。上中下座互ニ和シ。互ニ恭敬スル。此ヲ僧ト云。僧ト云ハ略言テ。具ニハ僧伽ト云。梵言ノ僧伽。此ニハ衆和合ト云。一人ハ僧ト名ツケヌ。二人ハ僧ト名ケヌ。四人已上此六ノ名ヲ和敬具足セル上ニ僧伽立スルシヤ。佛ト德ヲ等シ法ト體ヲ等シテ。三寶ノ隨一タルハ。此德ニ由ルシヤ。

新字:僧宝ノ中ニハ父子ノ和合ナク。君臣ノ和合ナク。朋友ノ和合ナク。夫婦ノ和合ナク。兄弟ノ和合ナク。世間ニ異ナル道シヤ。人倫ヲ超過シタ姿シヤ。此中ニハ友愛親好ハ何ノ処ニ在ソ。此人倫ヲ超過セル中ニ。六和敬ヲ以テ僧体トスルシヤ。六和敬ハ戒見利身口意ノ和敬シヤ。和ハ和合ノ義。敬ハ恭敬シヤ。上中下座互ニ和シ。互ニ恭敬スル。此ヲ僧ト云。僧ト云ハ略言テ。具ニハ僧伽ト云。梵言ノ僧伽。此ニハ衆和合ト云。一人ハ僧ト名ツケヌ。二人ハ僧ト名ケヌ。四人已上此六ノ名ヲ和敬具足セル上ニ僧伽立スルシヤ。仏ト徳ヲ等シ法ト体ヲ等シテ。三宝ノ随一タルハ。此徳ニ由ルシヤ。

書き下し

僧宝ノ中ニハ父子ノ和合ナク。君臣ノ和合ナク。朋友ノ和合ナク。夫婦ノ和合ナク。兄弟ノ和合ナク。世間ニ異ナル道シヤ。人倫ヲ超過シタ姿シヤ。此中ニハ友愛親好ハ何ノ処ニ在ソ。此人倫ヲ超過セル中ニ。六和敬ヲ以テ僧体トスルシヤ。六和敬ハ戒見利身口意ノ和敬シヤ。和ハ和合ノ義。敬ハ恭敬シヤ。上中下座互ニ和シ。互ニ恭敬スル。此ヲ僧ト云。僧ト云ハ略言テ。具ニハ僧伽ト云。梵言ノ僧伽。此ニハ衆和合ト云。一人ハ僧ト名ツケヌ。二人ハ僧ト名ケヌ。四人已上此六ノ名ヲ和敬具足セル上ニ僧伽立スルシヤ。仏ト徳ヲ等シ法ト体ヲ等シテ。三宝ノ随一タルハ。此徳ニ由ルシヤ。

現代語訳

僧宝の中には、父子の和合もなく、君臣の和合もなく、朋友の和合もなく、夫婦の和合もなく、兄弟の和合もない。世間とは異なる道である。人倫を超えた姿である。この中では、友愛親好はどこにあるのか。この人倫を超えた中で、六和敬をもって僧の本体とするのである。六和敬とは、戒・見・利・身・口・意の和敬である。和は和合の意味、敬は恭敬である。上座・中座・下座が互いに和し、互いに敬う。これを僧という。僧というのは略した言い方で、詳しくは僧伽という。梵語の僧伽を、ここでは衆和合という。一人は僧と名づけない。二人も僧と名づけない。四人以上で、この六つの名の和敬を具え足りたうえに僧伽が成り立つのである。仏と徳を等しくし、法と本体を等しくして、三宝の一つであるのは、この徳によるのである。

解説

出家の世界には父子も君臣も夫婦もない。では友愛親好はどこにあるのか、と問いを立て、尊者は六和敬を答えとする。戒を同じくし、見解を同じくし、利益を分かち合い、身の振る舞い、言葉、心を和合させて互いに敬う。僧伽(サンガ)とは本来、和合する集団を意味し、四人以上がこの和敬を備えて初めて成り立つ。僧が仏法と並ぶ三宝の一つとされるのは、この和合の徳による。血縁も上下関係もない集団がどう結ばれるかという問いは、今日のチームづくりにもそのまま通じる。

この章句が説くこと

六和敬僧伽和合三宝恭敬

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