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十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

第五口和敬トハ。僧寶ノ中ニ羯磨ノ法カアルシヤ。此ハ佛ノ制約デ。諸ノ菩薩羅漢モ一句ヲ增セス。一句ヲ減セス。ソノヾマニ傳來テ。今日マテトリ行ト云コトシヤ。法ニ八位ヲ分テ。其條例濫セヌト云コトシヤ。住處ニ此法アリテ成就スル。此ヲ結界羯磨ト名ツクル。此羯磨結界ノ地ハ。蟲蟻マテ法緣ヲ結ト云コトシヤ。戒體此法アリテ成就スル。受大戒羯磨ト名ツクル。此羯磨如法ニ成就スレハ。其人ニ成德具リテ世ノ福田トナルト云コトシヤ。三衣此法アリテ成就スル。一鉢一坐具モ此法アリテ成就スル。此法佛ノ所制ニ違ネハ。衣物ニモ功德具ルト云コトシヤ。

新字:第五口和敬トハ。僧宝ノ中ニ羯磨ノ法カアルシヤ。此ハ仏ノ制約デ。諸ノ菩薩羅漢モ一句ヲ增セス。一句ヲ減セス。ソノヾマニ伝来テ。今日マテトリ行ト云コトシヤ。法ニ八位ヲ分テ。其条例濫セヌト云コトシヤ。住処ニ此法アリテ成就スル。此ヲ結界羯磨ト名ツクル。此羯磨結界ノ地ハ。虫蟻マテ法縁ヲ結ト云コトシヤ。戒体此法アリテ成就スル。受大戒羯磨ト名ツクル。此羯磨如法ニ成就スレハ。其人ニ成徳具リテ世ノ福田トナルト云コトシヤ。三衣此法アリテ成就スル。一鉢一坐具モ此法アリテ成就スル。此法仏ノ所制ニ違ネハ。衣物ニモ功徳具ルト云コトシヤ。

書き下し

第五口和敬トハ。僧宝ノ中ニ羯磨ノ法カアルシヤ。此ハ仏ノ制約デ。諸ノ菩薩羅漢モ一句ヲ增セス。一句ヲ減セス。ソノヾマニ伝来テ。今日マテトリ行ト云コトシヤ。法ニ八位ヲ分テ。其条例濫セヌト云コトシヤ。住処ニ此法アリテ成就スル。此ヲ結界羯磨ト名ツクル。此羯磨結界ノ地ハ。虫蟻マテ法縁ヲ結ト云コトシヤ。戒体此法アリテ成就スル。受大戒羯磨ト名ツクル。此羯磨如法ニ成就スレハ。其人ニ成徳具リテ世ノ福田トナルト云コトシヤ。三衣此法アリテ成就スル。一鉢一坐具モ此法アリテ成就スル。此法仏ノ所制ニ違ネハ。衣物ニモ功徳具ルト云コトシヤ。

現代語訳

第五の口和敬とは、僧宝の中に羯磨の法がある。これは仏の制約であって、諸々の菩薩や阿羅漢も一句を増やさず、一句を減らさず、そのままに伝えてきて、今日まで執り行っているということだ。法に八つの位を分けて、その条例を乱さないということだ。住処はこの法によって成就する。これを結界羯磨と名づける。この羯磨によって結界した地は、虫や蟻まで法の縁を結ぶということだ。戒体はこの法によって成就する。受大戒羯磨と名づける。この羯磨が法のとおりに成就すれば、その人に徳が具わって世の福田となるということだ。三衣はこの法によって成就する。一つの鉢、一つの坐具もこの法によって成就する。この法が仏の制に違わなければ、衣や物にも功徳が具わるということだ。

解説

六和敬の第五、口和敬は、言葉を同じくすることである。その中心が羯磨、つまり教団の議事や儀式で唱える定型の文言である。菩薩も阿羅漢も一句も増減せずに伝えてきたという。寺の境界を定める結界羯磨、正式な僧となる受大戒羯磨など、場所も人も衣も、この言葉によって成り立つ。定められた言葉を皆が同じく唱えることで、個人の思いつきに左右されない和合が生まれる。契約書や規約の文言を勝手に変えない、という今日の感覚とも通じる。

この章句が説くこと

口和敬羯磨結界受戒戒体

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