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十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

第二見和敬ト云ハ。上等覺ノ大士ヨリ今日ノ凡夫マテ。同一聖智見ニ安住スルシヤ。法ニ權實ノ別ハアレトモ。教ハ顯密ノ差ハアレトモ。悉ク同一師ニ學シテ。餘望ハナキシヤ。此中世尊有ト說ク。此有。法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ應シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊空ト說ク。此空。法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ應シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊性相ヲ分別スル。一名一句コトコトク法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ應シテ勝益ヲ得ル。世尊諸相ヲ泯絕スル。一名一句。法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ應シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊三乘ヲ分異スル。一名一句コトコトク法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ應シテ勝益ヲ得ル。世尊三乘ヲ融會スル。法ノ當相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ應シテ勝益ヲ得ルシヤ。ソノ淺深ヲ論スルハ。唯論スル者ノ淺深シヤ。金剛經ニ。是法平等。無有高下。是名阿耨多羅三藐三菩提トアル。

新字:第二見和敬ト云ハ。上等覚ノ大士ヨリ今日ノ凡夫マテ。同一聖智見ニ安住スルシヤ。法ニ権実ノ別ハアレトモ。教ハ顕密ノ差ハアレトモ。悉ク同一師ニ学シテ。余望ハナキシヤ。此中世尊有ト説ク。此有。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊空ト説ク。此空。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊性相ヲ分別スル。一名一句コトコトク法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ル。世尊諸相ヲ泯絶スル。一名一句。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊三乗ヲ分異スル。一名一句コトコトク法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ル。世尊三乗ヲ融会スル。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。ソノ浅深ヲ論スルハ。唯論スル者ノ浅深シヤ。金剛経ニ。是法平等。無有高下。是名阿耨多羅三藐三菩提トアル。

書き下し

第二見和敬ト云ハ。上等覚ノ大士ヨリ今日ノ凡夫マテ。同一聖智見ニ安住スルシヤ。法ニ権実ノ別ハアレトモ。教ハ顕密ノ差ハアレトモ。悉ク同一師ニ学シテ。余望ハナキシヤ。此中世尊有ト説ク。此有。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊空ト説ク。此空。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其根機ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊性相ヲ分別スル。一名一句コトコトク法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ル。世尊諸相ヲ泯絶スル。一名一句。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。世尊三乗ヲ分異スル。一名一句コトコトク法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ル。世尊三乗ヲ融会スル。法ノ当相。義ノ極成。欽奉スル者ハ其機根ニ応シテ勝益ヲ得ルシヤ。ソノ浅深ヲ論スルハ。唯論スル者ノ浅深シヤ。金剛経ニ。是法平等。無有高下。是名阿耨多羅三藐三菩提トアル。

現代語訳

第二の見和敬というのは、上は等覚の大士から今日の凡夫まで、同一の聖なる智見に安住するのである。法に権と実の別はあっても、教えに顕と密の差はあっても、ことごとく同一の師に学んで、ほかに望むものはない。この中で、世尊が有と説く。この有は、法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その根機に応じて優れた利益を得るのである。世尊が空と説く。この空は、法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その根機に応じて優れた利益を得るのである。世尊が性と相を分別する。一名一句ことごとく法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その機根に応じて優れた利益を得る。世尊が諸々の相を絶ち滅ぼす。一名一句が、法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その機根に応じて優れた利益を得るのである。世尊が三乗を分け異にする。一名一句ことごとく法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その機根に応じて優れた利益を得る。世尊が三乗を融合させる。法のありのままの相であり、義の究極の成就である。謹んで奉じる者は、その機根に応じて優れた利益を得るのである。その浅い深いを論じるのは、ただ論じる者の浅い深いである。金剛経に、この法は平等であって高い低いがない。これを阿耨多羅三藐三菩提と名づける、とある。

解説

六和敬の第二、見和敬は、菩薩から凡夫までが同じ仏の智見に立つことをいう。仏は有を説き、空を説き、区別を説き、区別を消し、三乗を分け、また一つにした。そのどれもが法のありのままであり、受け手の器に応じて益がある。だから教えの浅深を論じるのは、論じる者自身の浅深を示しているにすぎないと尊者は言い切る。金剛般若経の「是の法平等にして高下有ること無し」がその裏づけである。他人の流儀を浅いと評する前に、自分の見る目を問い直させる一節である。

この章句が説くこと

見和敬有空平等根機金剛経

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