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十善法語 / 巻第七・不兩舌戒

又世尊波吒離城ニ遊行シタマフ。哺時禪定ヨリ起テ。清涼處ニ詣シ。阿難ニ告タマフ。汝此處ニ城邑ヲ量度スルヲ聞スヤト。阿難尊者ノ答フ。頃聞。行雨大臣處所ヲ巡視シ。此處ニ都城ヲ創營スト。世尊告タマフ。行雨大臣智慧アリ。此處福德ノ地ナリ。我天眼ヲ以テ觀見スルニ。空中諸ノ天神。各住處ヲ求ム。此處三十三天ト形狀相似タリ。此處ニ諸ノ福德大人住スヘク。諸ノ勝商人來テ交易往還スヘシト。其後城邑漸次ニ成立シ。百年ノ後。阿育王ニ至テ。王舍城ヨリ遷テ。此處ニ都シ。威力瞻部一洲ニ加ツタトアル。此等モ看ヨ。人事ニ因テ諸天カ感スル。天神ノ助ニ由テ人事カ成立スル。面白キコトシヤ。此神祇人事ノ相感スルニ。近ク看レハ。己心中不兩舌戒ノ儀シヤ。遠ク云ハ。法性等流ノ德シヤ。

新字:又世尊波吒離城ニ遊行シタマフ。哺時禅定ヨリ起テ。清涼処ニ詣シ。阿難ニ告タマフ。汝此処ニ城邑ヲ量度スルヲ聞スヤト。阿難尊者ノ答フ。頃聞。行雨大臣処所ヲ巡視シ。此処ニ都城ヲ創営スト。世尊告タマフ。行雨大臣智慧アリ。此処福徳ノ地ナリ。我天眼ヲ以テ観見スルニ。空中諸ノ天神。各住処ヲ求ム。此処三十三天ト形状相似タリ。此処ニ諸ノ福徳大人住スヘク。諸ノ勝商人来テ交易往還スヘシト。其後城邑漸次ニ成立シ。百年ノ後。阿育王ニ至テ。王舎城ヨリ遷テ。此処ニ都シ。威力瞻部一洲ニ加ツタトアル。此等モ看ヨ。人事ニ因テ諸天カ感スル。天神ノ助ニ由テ人事カ成立スル。面白キコトシヤ。此神祇人事ノ相感スルニ。近ク看レハ。己心中不両舌戒ノ儀シヤ。遠ク云ハ。法性等流ノ徳シヤ。

書き下し

又世尊波吒離城ニ遊行シタマフ。哺時禅定ヨリ起テ。清涼処ニ詣シ。阿難ニ告タマフ。汝此処ニ城邑ヲ量度スルヲ聞スヤト。阿難尊者ノ答フ。頃聞。行雨大臣処所ヲ巡視シ。此処ニ都城ヲ創営スト。世尊告タマフ。行雨大臣智慧アリ。此処福徳ノ地ナリ。我天眼ヲ以テ観見スルニ。空中諸ノ天神。各住処ヲ求ム。此処三十三天ト形状相似タリ。此処ニ諸ノ福徳大人住スヘク。諸ノ勝商人来テ交易往還スヘシト。其後城邑漸次ニ成立シ。百年ノ後。阿育王ニ至テ。王舎城ヨリ遷テ。此処ニ都シ。威力瞻部一洲ニ加ツタトアル。此等モ看ヨ。人事ニ因テ諸天カ感スル。天神ノ助ニ由テ人事カ成立スル。面白キコトシヤ。此神祇人事ノ相感スルニ。近ク看レハ。己心中不両舌戒ノ儀シヤ。遠ク云ハ。法性等流ノ徳シヤ。

現代語訳

また世尊が波吒離城に遊行された。夕刻に禅定から起きて、涼しい所に行き、阿難に告げられた。あなたは、この場所に城邑を測量して築くと聞いたか、と。阿難尊者が答えた。近ごろ聞きました。行雨大臣が場所を巡視して、ここに都城を創建するそうです、と。世尊は告げられた。行雨大臣には智慧がある。ここは福徳の地である。私が天眼で観ると、空中の諸々の天神がそれぞれ住む所を求めている。ここは三十三天と姿が似ている。ここには諸々の福徳ある大人が住み、諸々の優れた商人が来て交易し往来するだろう、と。その後、城邑が次第に成り立ち、百年の後、阿育王に至って王舎城から遷ってここに都し、その威力は瞻部洲全体に及んだ、とある。これらも見よ。人の事によって諸天が感応する。天神の助けによって人の事が成り立つ。面白いことである。この神々と人の事が互いに感応するのは、近く見れば自分の心の中の不両舌戒のありさまである。遠く言えば、法性から等しく流れ出た徳である。

解説

仏の晩年の旅を伝える経典に、マガダ国の大臣ヴァッサカーラ(行雨大臣)がガンジス河畔のパータリ村に城を築くのを見て、仏がこの地は栄えると予言した話がある。この地は後にパータリプトラ(波吒離城)となり、アショーカ王(阿育王)の都としてインドの大半を治める中心となった。人が場所を整えれば天神が集まり、天神の助けで人の営みが成る。尊者はこの相互の感応を、自分の心の中の不両舌戒として受け止めよと言う。場を開く人の智慧が、人や縁を呼び寄せるという読み方もできる。

この章句が説くこと

感応神祇法性阿難波吒離城阿育王

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