十善法語 / 巻第七・不兩舌戒
斯人ノ斯世ニ居スル。上天ヲ戴キ。下地ヲ履ム晝日事緣アリテ。夜分休息ス。父慈ニ子孝アル。君誘ヒ臣輔クル。コトコトク此戒ノ趣ナラヌコトハナイ。若天ヲ輕シ地ヲ侮ル。天地ハ何レトモ思ハネトモ。其人ハ災アルト云コトシヤ。夜分ニ作事アツテ。晝分睡眠スル。不祥ノ兆ト云コトシヤ。假令子ハ孝行ナクトモ。父ハ慈悲ナルヘシ。此慈悲ト云モ。甘ヤカスコトテハナイ。其道アルシヤ。假令父母ハ頑囂デモ。子ハ至孝ナルベシ。頑囂ノ目ニカカルハ。其子タル者ノ志デハナイ。一念モ父母ヲ輕スル心アルハ。自ラ福分ヲ減スルシヤ。
新字:斯人ノ斯世ニ居スル。上天ヲ戴キ。下地ヲ履ム昼日事縁アリテ。夜分休息ス。父慈ニ子孝アル。君誘ヒ臣輔クル。コトコトク此戒ノ趣ナラヌコトハナイ。若天ヲ軽シ地ヲ侮ル。天地ハ何レトモ思ハネトモ。其人ハ災アルト云コトシヤ。夜分ニ作事アツテ。昼分睡眠スル。不祥ノ兆ト云コトシヤ。仮令子ハ孝行ナクトモ。父ハ慈悲ナルヘシ。此慈悲ト云モ。甘ヤカスコトテハナイ。其道アルシヤ。仮令父母ハ頑囂デモ。子ハ至孝ナルベシ。頑囂ノ目ニカカルハ。其子タル者ノ志デハナイ。一念モ父母ヲ軽スル心アルハ。自ラ福分ヲ減スルシヤ。
書き下し
斯人ノ斯世ニ居スル。上天ヲ戴キ。下地ヲ履ム昼日事縁アリテ。夜分休息ス。父慈ニ子孝アル。君誘ヒ臣輔クル。コトコトク此戒ノ趣ナラヌコトハナイ。若天ヲ軽シ地ヲ侮ル。天地ハ何レトモ思ハネトモ。其人ハ災アルト云コトシヤ。夜分ニ作事アツテ。昼分睡眠スル。不祥ノ兆ト云コトシヤ。仮令子ハ孝行ナクトモ。父ハ慈悲ナルヘシ。此慈悲ト云モ。甘ヤカスコトテハナイ。其道アルシヤ。仮令父母ハ頑囂デモ。子ハ至孝ナルベシ。頑囂ノ目ニカカルハ。其子タル者ノ志デハナイ。一念モ父母ヲ軽スル心アルハ。自ラ福分ヲ減スルシヤ。
現代語訳
人がこの世に住むのは、上に天を戴き、下に地を踏み、昼は用事があって、夜は休息する。父に慈しみがあり子に孝がある。君が導き臣が補佐する。ことごとくこの戒の趣でないものはない。もし天を軽んじ地を侮れば、天地は何とも思わないが、その人には災いがあるということだ。夜に仕事をして昼に眠るのは、不吉の兆しだということだ。たとえ子に孝行がなくても、父は慈悲であるべきである。この慈悲というのも、甘やかすことではない。その道があるのである。たとえ父母が頑なで道理に暗くても、子はこの上なく孝行であるべきである。父母が頑なであることが人目にかかるのは、その子たる者の志ではない。一念でも父母を軽んじる心があるのは、みずから福分を減らすのである。
解説
この章句が説くこと
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