十善法語 / 巻第六・不惡口戒
等虛空界ノ壽命アレハ。等虛空界ノ眼功德ヲ得ル。其見ル所ヲ見ル。等虛空界ノ耳根ヲ得ル。其聞ヘキ所ヲ聞ク。等虛空界ノ鼻根ヲ得ル。戒香定香解脫香ヲ嗅ク。等虛空界ノ舌根ヲ得ル。其辛酸苦酢ミナ法味ヲ受用スル。等虛空界ノ身根ヲ得ル。其寒溫輕重ミナ妙觸ヲ受用スル。等虛空界ノ意根ヲ得ル。得失是非我安立スル所ニ隨テ。十方佛土中唯有一乘法シヤ。從地涌出ノ菩薩ハ悉ク我教導セル所シヤ。多寶塔緣ニ隨テ起滅シテ。共ニ邊際ナシ。其時ノ常不輕菩薩ハ今ノ釋迦如來ナリトアル。罵ル者ハ罵ルニマカス。彼カ睡夢ノ中ノ差排シヤ。打者ハ打ニ任ス。虛空ニ來去ナク生滅ナイ。取ヘキコトモナク捨ヘキコトモナイ。憎ムヘキコトモナク愛スヘキコトモナイ。其時ニ打罵呵責セシ者ハ今ノ阿難等ノ大衆ナリトアル。常在靈鷲山。我此土安穩シヤ。
新字:等虚空界ノ寿命アレハ。等虚空界ノ眼功徳ヲ得ル。其見ル所ヲ見ル。等虚空界ノ耳根ヲ得ル。其聞ヘキ所ヲ聞ク。等虚空界ノ鼻根ヲ得ル。戒香定香解脱香ヲ嗅ク。等虚空界ノ舌根ヲ得ル。其辛酸苦酢ミナ法味ヲ受用スル。等虚空界ノ身根ヲ得ル。其寒温軽重ミナ妙触ヲ受用スル。等虚空界ノ意根ヲ得ル。得失是非我安立スル所ニ随テ。十方仏土中唯有一乗法シヤ。従地涌出ノ菩薩ハ悉ク我教導セル所シヤ。多宝塔縁ニ随テ起滅シテ。共ニ辺際ナシ。其時ノ常不軽菩薩ハ今ノ釈迦如来ナリトアル。罵ル者ハ罵ルニマカス。彼カ睡夢ノ中ノ差排シヤ。打者ハ打ニ任ス。虚空ニ来去ナク生滅ナイ。取ヘキコトモナク捨ヘキコトモナイ。憎ムヘキコトモナク愛スヘキコトモナイ。其時ニ打罵呵責セシ者ハ今ノ阿難等ノ大衆ナリトアル。常在霊鷲山。我此土安穏シヤ。
書き下し
等虚空界ノ寿命アレハ。等虚空界ノ眼功徳ヲ得ル。其見ル所ヲ見ル。等虚空界ノ耳根ヲ得ル。其聞ヘキ所ヲ聞ク。等虚空界ノ鼻根ヲ得ル。戒香定香解脱香ヲ嗅ク。等虚空界ノ舌根ヲ得ル。其辛酸苦酢ミナ法味ヲ受用スル。等虚空界ノ身根ヲ得ル。其寒温軽重ミナ妙触ヲ受用スル。等虚空界ノ意根ヲ得ル。得失是非我安立スル所ニ随テ。十方仏土中唯有一乗法シヤ。従地涌出ノ菩薩ハ悉ク我教導セル所シヤ。多宝塔縁ニ随テ起滅シテ。共ニ辺際ナシ。其時ノ常不軽菩薩ハ今ノ釈迦如来ナリトアル。罵ル者ハ罵ルニマカス。彼カ睡夢ノ中ノ差排シヤ。打者ハ打ニ任ス。虚空ニ来去ナク生滅ナイ。取ヘキコトモナク捨ヘキコトモナイ。憎ムヘキコトモナク愛スヘキコトモナイ。其時ニ打罵呵責セシ者ハ今ノ阿難等ノ大衆ナリトアル。常在霊鷲山。我此土安穏シヤ。
現代語訳
虚空界に等しい寿命があれば、虚空界に等しい眼の功徳を得る。その見るべきところを見る。虚空界に等しい耳根を得る。その聞くべきところを聞く。虚空界に等しい鼻根を得る。戒の香、定の香、解脱の香を嗅ぐ。虚空界に等しい舌根を得る。その辛い・酸っぱい・苦い・酢いものがみな法の味として受け用いられる。虚空界に等しい身根を得る。その寒さ温かさ、軽さ重さがみな妙なる触れ心地として受け用いられる。虚空界に等しい意根を得る。得失や是非は、私が安んじて立てるところに従って、十方の仏国土の中にただ一乗の法だけがあるのである。地から涌き出た菩薩はことごとく私が教え導いたところである。多宝塔は縁に従って起こり滅して、ともに果てがない。その時の常不軽菩薩は今の釈迦如来である、とある。罵る者は罵るに任せる。それは彼の眠りの夢の中の差配である。打つ者は打つに任せる。虚空に来ることも去ることもなく、生も滅もない。取るべきこともなく捨てるべきこともない。憎むべきこともなく愛すべきこともない。その時に打ち罵り叱責した者は今の阿難などの大衆である、とある。常に霊鷲山にあり、我がこの国土は安穏である。
解説

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
関連する章句
-
『十善法語』巻第六・不惡口戒知ル者ハ五百塵点却已前ニ相知ル。知ラヌ者ハ唯此因縁説ノミシヤ。此ニ由テ仏性ヲ礼拝恭敬スレハ無量ノ功徳ヲ得ル。悪口スレハ大罪ヲ得ル。真正ノ道人第一義ニ入テ縁起ノ相ヲ壊セス。其罪ノアルコトヲ知ル。其功徳ノアルコトヲ知ル。一切衆生業風ニ吹マトハサレテ。此ニ死シ彼ニ生スルコト。譬ヘハ空中ニ浮フ雲ノ如シヤ。風ニ随テ合ス。合スレハ同一ノ雲シヤ。風ニ随テ離散ス。離散スレハ百千万ノ雲シヤ。一切衆生カ自性空中ニ起滅シテ。彼アリ此アルニ似ル。貴アリ賤アルニ似ル。智愚賢不肖アルニ似ル。此法性縁起ノ中ニ常不軽菩薩ノ行ト云ハ。强テ道ノホトリ。市町ノ中ニ在テ礼拝スルコトデナイ。中下等ノ人ニ対シテ足恭スルコトテハナイ。真正ニ此戒ヲ護持スル者ハ道路街衢ノ中。タトヒ人ドメヲサセテモ。先ハラヒヲサセテモ。如説修行ノアルベキコトシヤ。
-
『十善法語』巻第六・不惡口戒此等ノ文。教家ノ中ニハ。人人家家ノ解了浅深モアルヘキナレトモ。其釈義ハ且ク置テ。直ニ経意ヲ看ヨ。衆生ニ仏性有コトヲ知レハ。礼拝尊重スヘシ。仏性ヲ尊重スレハ。其人ノ目ニハ唯是仏性ノミシヤ。元来世間ニ一衆生トシテ凡夫ト云者ヲ見ス。此仏性威音王仏ハ此空中ニ顕レネハナラヌ。此威音王仏カ自性空ノ中ニ顕ルレハ。生ナク滅ナク。寿命延ルコトヲ得ヘシ。
-
法華経・常不輕菩薩品第二十(3)「是の比丘、終わりに臨まんと欲する時、虚空の中に於いて、具さに威音王仏の、先に説きたまいし所の法華経二十千万億偈を聞き、悉く能く受持し、即ち上の如き眼根清浄、耳鼻舌身意根清浄を得たり。是の六根清浄を得已りて、更に寿命を増すこと二百万億那由他歳、広く人の為に是の法華経を説く。時に於いて増上慢の四衆、比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷の、是の人を軽賤して、為に不軽の名を作せる者、其の大神通力、楽説弁力、大善寂力を得たるを見、其の所説を聞きて、皆な信伏随従す。是の菩薩、復た千万億の衆を化して、阿耨多羅三藐三菩提に住せしむ。命終の後、二千億の仏に値うことを得、皆な日月燈明と号す、其の法の中に於いて、是の法華経を説く。是の因縁を以て、復た二千億の仏に値う、同じく雲自在燈王と号す。此の諸仏の法の中に於いて、受持し読誦し、諸の四衆の為に此の経典を説く故に、是の常の眼清浄、耳鼻舌身意の諸根清浄を得て、四衆の中に於いて法を説くに、心に畏るる所無し。」
-
『十善法語』巻第六・不惡口戒此中一ノ因縁アリ。有信ノ者思惟スヘシ。法華経ニ。過去無量却ノ時ニ仏アリ。威音王仏ト名ツク。其威音王如来滅後。像法ノ中。一菩薩比丘アリ。常不軽ト名ツク。此人学問セズ。誦経セズ。只四衆ニアヘハ。貴賤ノワカチナク。皆尊重心ヲ起シ。礼拝讃嘆シテ此言ヲ作ス。吾汝ヲ軽ンセス。汝ヲ敬フ。汝等ミナ当来ニ作仏スヘシト。常ニカクアル故ニ。人呼テ常不軽ト云。其時四衆ノ中ニ。瞋恚不浄ナル者アリ。悪口罵詈シテ。此無智ノ比丘何処ヨリ来レル。我等コノ虚妄ノ授記ヲ用ヒスト云ヒ。或ハ杖木或瓦石ヲ以テ打擲ス。其時遠クサケ走テ。尚高声ニ唱フ。我敢テ汝等ヲ軽ンセス。汝等当作仏ト。此比丘後命終ノトキ。虚空ノ中ニ威音王仏ヲ見奉リ。六根浄ノ功徳ヲ成就シ。更ニ寿命ヲ增セシトアル。
-
『十善法語』巻第七・不兩舌戒仏在世ノ六十四種ノ梵音ト云ハ。名相勝妙ナルベケレトモ。唯コノ声シヤ。不両舌戒カ満足スレハ。一切ノ音声ハ直ニ三世諸仏ノ妙法蔵トナル。在世ノ放光動地雨華変化。滅後ノ黄巻赤軸。右行下行ノ文字ハ。ムツカシキ名目ナレトモ。唯コノ色シヤ。不両舌戒ガ満足スレハ。方円三角。遠近濶狭。高下長短。青黄赤白黒ガ。トリモ直サス正法ノ姿シヤ。渓声即是広長舌。山色豈不清浄身シヤ。花ヨリ外ニ知ル人ハナキシヤ。華厳経ノ中ニ。藤根国ノ普眼長者ガ一切香ヲ和合スル要法ヲ知ルトアル。不両舌戒ガ満足スレバ。一切ノ自性ノ香。和合ノ香ガ菩薩ノ解脱門シヤ。維摩経ノ中。香積世界ニハ。飯食ヲ以テ仏事ヲナストアル。不両舌戒ガ満足スレハ。一切飯食ノ色香味ガ直ニ菩薩ノ不可思議解脱シヤ。首楞厳経ニ。跋陀婆羅菩薩ガ浴室ニ入テ。水因三昧ヲ得トアル。不両舌戒ガ満足スレハ。一切ノ冷暖軽重等ノ触ガ菩薩ノ禅定三昧シヤ。
-
法華経・常不輕菩薩品第二十(1)爾の時、仏、得大勢菩薩摩訶薩に告げたまわく、「汝、今当に知るべし、若しは比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷、法華経を持つ者を、若し悪口、罵詈、誹謗すること有らば、大罪報を獲ること、前に説く所の如し。其の得る所の功徳は、向に説く所の如く、眼耳鼻舌身意清浄なり。得大勢、乃往古昔、無量無辺不可思議阿僧祇劫を過ぎて、仏有しき、威音王如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と名づく。劫の名は離衰、国の名は大成なり。其の威音王仏、彼の世の中に於いて、天、人、阿修羅の為に法を説きたまう。声聞を求むる者の為には、応ぜる四諦の法を説いて、生老病死を度し、究竟して涅槃せしめ、辟支仏を求むる者の為には、応ぜる十二因縁の法を説き、諸の菩薩の為には、阿耨多羅三藐三菩提に因りて、応ぜる六波羅蜜の法を説いて、仏慧を究竟せしめたもう。得大勢、是の威音王仏は、寿四十万億那由他恒河沙劫、正法の世に住すること劫数は一閻浮提の微塵の如く、像法の世に住すること劫数は四天下の微塵の如し。其の仏、衆生を饒益し已りて、然して後に滅度したもう。正法像法滅尽の後に、此の国土に於いて、復た仏の出ずること有り、亦た威音王如来、応供、正遍知、明行足、善逝、世間解、無上士、調御丈夫、天人師、仏、世尊と号す。是くの如く次第に二万億の仏有り、皆な同じ一号なり。」