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十善法語 / 巻第六・不惡口戒

華嚴經ニ。人間ノ聚落ト。夜叉ノ聚落ト。互ニ相依住シテ。互ニ見聞セヌ。互ニ障礙セヌトアル。今日人間ノ中ニ。間ニ別ニ業感ノ者有テ。鬼類ヲ見ルコトカ有ト云コトシヤ。此者ノ眼テハ。大地樹木。一圍二圍ニ堪ル木ニハ。皆ソレ相應ノ鬼神依住シテ。空間ナルモノナシト云。又眞言咒力ニ因テ世間悉地ヲ得ルモノ。其悉地物ニ三相具足シテ現スルトキ。諸ノ持明仙來リ迎フ。天上地上コトコトク仙宮充塞シテ。金閣珠樓諸仙遊住シテ。一處トシテ空間ノ處ハナキト云コトシヤ。

新字:華厳経ニ。人間ノ聚落ト。夜叉ノ聚落ト。互ニ相依住シテ。互ニ見聞セヌ。互ニ障礙セヌトアル。今日人間ノ中ニ。間ニ別ニ業感ノ者有テ。鬼類ヲ見ルコトカ有ト云コトシヤ。此者ノ眼テハ。大地樹木。一囲二囲ニ堪ル木ニハ。皆ソレ相応ノ鬼神依住シテ。空間ナルモノナシト云。又真言咒力ニ因テ世間悉地ヲ得ルモノ。其悉地物ニ三相具足シテ現スルトキ。諸ノ持明仙来リ迎フ。天上地上コトコトク仙宮充塞シテ。金閣珠楼諸仙遊住シテ。一処トシテ空間ノ処ハナキト云コトシヤ。

書き下し

華厳経ニ。人間ノ聚落ト。夜叉ノ聚落ト。互ニ相依住シテ。互ニ見聞セヌ。互ニ障礙セヌトアル。今日人間ノ中ニ。間ニ別ニ業感ノ者有テ。鬼類ヲ見ルコトカ有ト云コトシヤ。此者ノ眼テハ。大地樹木。一囲二囲ニ堪ル木ニハ。皆ソレ相応ノ鬼神依住シテ。空間ナルモノナシト云。又真言咒力ニ因テ世間悉地ヲ得ルモノ。其悉地物ニ三相具足シテ現スルトキ。諸ノ持明仙来リ迎フ。天上地上コトコトク仙宮充塞シテ。金閣珠楼諸仙遊住シテ。一処トシテ空間ノ処ハナキト云コトシヤ。

現代語訳

華厳経に、人間の村と夜叉の村とが互いに依り合って住み、互いに見聞きせず、互いに妨げない、とある。今日、人間の中にも、まれに別の業の感応を持つ者がいて、鬼の類を見ることがあるということである。この者の眼では、大地や樹木、一抱え二抱えほどの木には、みなそれに相応した鬼神が依り住んでいて、空いているものはないという。また真言の呪力によって世間の悉地(成就)を得る者は、その成就の物に三つの相が具わって現れる時、諸々の持明仙が来て迎える。天上も地上もことごとく仙人の宮殿が満ちて、金の楼閣や珠玉の楼に諸仙が遊び住んでいて、一所として空いている所はないということである。

解説

華厳経には、人間の村と夜叉の村が同じ場所に重なり合いながら、互いに見えず妨げ合わないと説かれる。慈雲は、まれに鬼神が見える人には大きな木ごとに鬼神が住んで見え、真言の修行で成就を得た人には天地に仙人の宮殿が満ちて見えるという話を添える。これらは尊者が仏教の世界観として語ったものである。同じ空間に互いに気づかない無数の世界が重なっているという見方は、同じ職場や街にいても、人それぞれが別の現実を生きていることを思い起こさせる。

この章句が説くこと

華厳経夜叉共存業感真言

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