師導古典を学びたいすべての人に

十善法語 / 巻第四・不妄語戒

又華嚴經世主妙嚴品ノ中ニ。毗盧遮那如來ヲ讚嘆シテ。其身一切世界ニ徧シ。其聲一切世界ニ聞ユ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリトアル。此モ其宗旨ノ中ニハ。家ノ解シヤウノアルヘキシヤカ。其宗風ハ且クオキテ。直ニ經意ヲ知レ。其身一切世界ニ徧スト云ハ。都表ナク大ナル身體ト思フカ。サウテナイ。是ヲ見奉ル人モアリ。禮拜恭敬スル人モアリ。供養讃嘆スル人モアリ。在會聞法ノ人モアリ。會中ノ莊嚴モ有リ。他方來ノ菩薩モアルシヤ。其聲一切世界ニ聞ユト云ハ。都表ナク大ナル聲テ有フト思フカ。サウテナイ。因緣契當シタ者ハ聞ク。因緣契當セヌ人ハ聞コトカナラヌシヤ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリト云ハ。都表ナク思慮分別ヲ逞クスルコトト思フカ。サウテナイ。一念心上ニ本來明了テ隱レ得ヌシヤ。

新字:又華厳経世主妙厳品ノ中ニ。毗盧遮那如来ヲ讃嘆シテ。其身一切世界ニ遍シ。其声一切世界ニ聞ユ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリトアル。此モ其宗旨ノ中ニハ。家ノ解シヤウノアルヘキシヤカ。其宗風ハ且クオキテ。直ニ経意ヲ知レ。其身一切世界ニ遍スト云ハ。都表ナク大ナル身体ト思フカ。サウテナイ。是ヲ見奉ル人モアリ。礼拝恭敬スル人モアリ。供養讃嘆スル人モアリ。在会聞法ノ人モアリ。会中ノ荘厳モ有リ。他方来ノ菩薩モアルシヤ。其声一切世界ニ聞ユト云ハ。都表ナク大ナル声テ有フト思フカ。サウテナイ。因縁契当シタ者ハ聞ク。因縁契当セヌ人ハ聞コトカナラヌシヤ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリト云ハ。都表ナク思慮分別ヲ逞クスルコトト思フカ。サウテナイ。一念心上ニ本来明了テ隠レ得ヌシヤ。

書き下し

又華厳経世主妙厳品ノ中ニ。毗盧遮那如来ヲ讃嘆シテ。其身一切世界ニ遍シ。其声一切世界ニ聞ユ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリトアル。此モ其宗旨ノ中ニハ。家ノ解シヤウノアルヘキシヤカ。其宗風ハ且クオキテ。直ニ経意ヲ知レ。其身一切世界ニ遍スト云ハ。都表ナク大ナル身体ト思フカ。サウテナイ。是ヲ見奉ル人モアリ。礼拝恭敬スル人モアリ。供養讃嘆スル人モアリ。在会聞法ノ人モアリ。会中ノ荘厳モ有リ。他方来ノ菩薩モアルシヤ。其声一切世界ニ聞ユト云ハ。都表ナク大ナル声テ有フト思フカ。サウテナイ。因縁契当シタ者ハ聞ク。因縁契当セヌ人ハ聞コトカナラヌシヤ。智三世ニ入テ悉ク平等ナリト云ハ。都表ナク思慮分別ヲ逞クスルコトト思フカ。サウテナイ。一念心上ニ本来明了テ隠レ得ヌシヤ。

現代語訳

また華厳経の世主妙厳品の中に、毘盧遮那如来を讃嘆して、その身は一切の世界に遍く、その声は一切の世界に聞こえる、智慧は三世に入ってことごとく平等である、とある。これもその宗派の中には家の解釈があるだろうが、その宗風はしばらく置いて、直に経の意を知りなさい。その身が一切の世界に遍くというのは、途方もなく大きな身体だと思うか。そうではない。この仏を拝見する人もあり、礼拝し恭敬する人もあり、供養し讃嘆する人もあり、法会に列して法を聞く人もあり、法会の中の荘厳もあり、他の世界から来た菩薩もいるのである。その声が一切の世界に聞こえるというのは、途方もなく大きな声であろうと思うか。そうではない。因縁が合った者は聞く。因縁が合わない人は聞くことができないのである。智慧は三世に入ってことごとく平等であるというのは、途方もなく思慮分別をたくましくすることだと思うか。そうではない。一念の心の上に本来明らかで、隠れようがないのである。

解説

華厳経の世主妙厳品にある毘盧遮那如来の讃嘆を、慈雲は常識的な誤解を解きながら読み解く。仏の身が世界に遍いとは巨大な体のことではなく、仏を拝し、法を聞き、供養する人々がいるその場に仏の身があることだという。声が世界に聞こえるとは大声のことではなく、縁のある者に届くことだという。智慧が三世に平等とは、あれこれ考え尽くすことではなく、一念の心に本来明らかなことだという。大きさや量で尊さを測る癖を離れ、今ここの関係と心の明るさに目を向けさせる一節である。

この章句が説くこと

華厳経毘盧遮那智慧一念

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる