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十善法語 / 巻第五・不綺語戒

佛在世ニ諸ノ官人長者ノ婦ガ。上ノ如キ事緣アル時。法與大尼ニ親近シテ。自身ヲ潔シテ。其夫ニモ邪婬ヲ止サセテ。共ニ聖域ニ昇シコトガアルシヤ。若又不幸ニシテ其夫ニトク離ルルモ。其身ヲ修メ。其家ヲ齊ヘ。其兒女ヲ撫育スルニ道アルベキシヤ。毗舍伽母ノ類是シヤ。總シテ其ヲル處ニ安ンシ。來ル緣ニ隨ヒ。道ヲ得テ心ニ相應セハ。絲竹管絃ノ及フ所テハナキコトシヤ。

新字:仏在世ニ諸ノ官人長者ノ婦ガ。上ノ如キ事縁アル時。法与大尼ニ親近シテ。自身ヲ潔シテ。其夫ニモ邪婬ヲ止サセテ。共ニ聖域ニ昇シコトガアルシヤ。若又不幸ニシテ其夫ニトク離ルルモ。其身ヲ修メ。其家ヲ斉ヘ。其児女ヲ撫育スルニ道アルベキシヤ。毗舎伽母ノ類是シヤ。総シテ其ヲル処ニ安ンシ。来ル縁ニ随ヒ。道ヲ得テ心ニ相応セハ。糸竹管絃ノ及フ所テハナキコトシヤ。

書き下し

仏在世ニ諸ノ官人長者ノ婦ガ。上ノ如キ事縁アル時。法与大尼ニ親近シテ。自身ヲ潔シテ。其夫ニモ邪婬ヲ止サセテ。共ニ聖域ニ昇シコトガアルシヤ。若又不幸ニシテ其夫ニトク離ルルモ。其身ヲ修メ。其家ヲ斉ヘ。其児女ヲ撫育スルニ道アルベキシヤ。毗舎伽母ノ類是シヤ。総シテ其ヲル処ニ安ンシ。来ル縁ニ随ヒ。道ヲ得テ心ニ相応セハ。糸竹管絃ノ及フ所テハナキコトシヤ。

現代語訳

仏在世に、諸々の官人や長者の妻が、上のような事情のある時、法与(ダンマディンナー)大尼に親しみ近づいて、自身を清め、その夫にも邪婬をやめさせて、ともに聖者の域に昇ったことがあるのである。もしまた不幸にしてその夫と早く死別しても、その身を修め、その家を整え、その子どもを慈しみ育てるのに道があるはずである。毘舎佉母の類がこれである。総じて、そのいる所に安んじ、来る縁に随い、道を得て心に相応するなら、糸竹管絃の及ぶところではないことである。

解説

女性の道の結びで、困難な結婚や死別の中でも道があることが、仏典の女性たちの例で示される。法与比丘尼は夫にも道を開かせたと伝わる聡明な尼僧であり、毘舎佉母は祇園精舎と並ぶ東園鹿子母講堂を寄進した篤信の女性である。その身を修め、家を整え、子を育てる姿が語られる。いる所に安んじ、来る縁に随い、道を得て心に相応するなら、という結びの言葉は、置かれた境遇を嘆くより、その場でできる道を歩むことを勧める普遍的な教えとして響く。

この章句が説くこと

安住修身邪婬毘舎佉母法与

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